Mikiki編集部員が最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする毎週火曜日更新の週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。連載100回を超え、4人が1曲を厳選し計4曲を掲載してまいります。 *Mikiki編集部
【酒井優考】
可愛い連中 “互市才覚”
2019年に解散したアカシックのメンバーだった3人による新音楽ユニット(という説明はもう要らないか)可愛い連中。彼らが4か月連続で配信リリースしているうちの第3弾がこの曲。資料によれば〈シンプルなロックサウンドとボーカル 理姫による独特な言葉のセレクトで、底抜けな明るさを引き立たせた1曲に仕上がっている〉とあるけど、本当にそうかなあ? 特にAメロや間奏の雰囲気からは不安で悪いドキドキ感みたいな感じがあって(こういうところが奥脇達也さんらしい、すごく好きな感じです)、歌詞も恋に悩める女子って感じ。そこから迎えるサビはそういう不安を振り切って孤軍奮闘してる感じで、底抜けに明るいと言えばそうなのかもしれないけど、やっぱりどこか哀愁とか影とかがあって、その両面あるところがこの3人のいいとこなのに!って思います。ちなみにタイトルは〈あきないさいかく〉と読むらしいですね。それにしても〈恋愛〉を〈商い〉に喩え、さらにそこに〈互市〉という言葉を当てているのはすごい。〈互市〉って何だろう?と思わずググりました。
【天野龍太郎】
森七菜 “深海”
“スマイル”のはつらつとしたカヴァーがヒットした森七菜の新曲は、当代随一の作曲家・プロデューサーと言ってももう誇張でもなんでもないYOASOBIのAyaseが手がけた“深海”。冒頭からラスサビまで、とにかくAyase印(この記名性はすごい!)。配信リンクはこちら。
【鈴木英之介】
m/lue. “大切なキミへ”
宅録制作を行うシンガー・ソングライターのm/lue.(ミリュー)が2021年9月29日(水)にリリースする、ファースト・ミニ・アルバム『あいだ』からの先行曲。フィールド・レコーディングによって捉えられた生活音で始まり、そこに静謐で淡いタッチのピアノの調べが重なる。それだけでもうすでに美しいのだが、そこにm/lue.の歌声が乗ったとき、その静かな凄味に思わずゾクッとさせられる。彼女の歌はわかりやすく単一の感情を表現することに奉仕していないからこそ、聴き手の刻々と移ろいゆく心模様を映じて様々な色合いへと変化していくように感じられる。こうした表現の質やその底を流れる美意識において、今年リリースされたアルバム『Hanazono』が素晴らしかったシンガー・ソングライターのSatomimagaeなどに通ずるところがあるかもしれない(Satomimagaeが操るのは主にアコースティック・ギターであるが)。ミニ・アルバムの中でこの曲がどのように響くのか、いまから楽しみだ。
【田中亮太】
MALIYA “Hot Spot”
東京を拠点に活動しているR&Bシンガー、MALIYA。彼女が10月(日程未定)にリリースするセカンド・アルバム『Faveur』からのリード・ソングです。煌びやかなカッティング・ギターと推進力のあるディスコ・グルーヴの間で、歌声がしなやかに踊るダンス・ポップ。ビートのファットさがめちゃくちゃ気持ちいいです。誰が作ったんだろ?とクレジット見ると、G.RINAさんの名前が。流石ですね。