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地下室にひきこもって、ひたすら曲を作ってるだけ

――では、みなさんの地元であるブルックリンという土地の文化やその音楽について感じていることを教えてください。

ガス「基本、地下室にこもって、ひたすら自分たちの曲を作ってるだけって感じだから……」

キャメロン「うん(笑)。基本、ひきこもりなんで、地元の音楽シーンで何が起きてるのとか、実はぜんぜん知らない(笑)」

――ええっ……(笑)。

ガス「最近になって、ようやく地下室から外に出るようになった感じだよね。他のバンドと共演したり、一応いわゆるシーンみたいなものに出入りしたりするようになったけど、それまでは基本、地下室にこもって、観客はいつも自分以外はメンバー4人だけって状態で活動してたから(笑)」

――ブルックリンなんて、音楽を目指す若者の憧れの地なのに、もったいないですね。

一同「(笑)」

ガス「しかも、僕らの地下室だって、窓もないし、別にものすごく居心地のよい場所ってわけでもないんだけどね(笑)。すくなくとも、いまは地下室から出て、もうちょっといい場所で演奏できるようになったけど」

――ちなみに、どんなバンドと交流がありますか?

マックス「よく対バンしてるのは、ネイティヴ・サン(Native Sun)とか。ブルックリンのブッシュウィック出身のパンクバンドで、何度か一緒にライブをやらせてもらってるよ。あとはグスタフ(Gustaf)とか、マジでいいよね」

ネイティヴ・サンの2021年のシングル“Jesus”

グスタフの2021年作『Audio Drag For Ego Slobs』収録曲“Cruel”

ガス「いいよね! ネイティヴ・サンも最高だし。よく共演してるバンドでいったら、その2組かな」

マックス「あと、僕らと同じ新人バンドと共演する機会も多いよ。マッカーズ(The Muckers)とか、ビーン・ステラー(Been Stellar)とか――俳優のベン・スティラーじゃなくて、ビーン・ステラーね(笑)」

マッカーズの2021年作『Endeavor』収録曲“Roll The Dice”

ビーン・ステラーの2021年のシングル“Kids 1995”

 

ギースをインスパイアするロックバンド

――わかりました。それと、制作の拠点であるホームスタジオ〈The Nest〉がどんな場所なのか、どんな音を作れるところなのか、すごく気になります。スニーカーをマイクスタンドにしたり、ブランケットでアンプを覆ったりと、すごくDIYなレコーディングをしたと聞きましたが。

キャメロン「それは奇をてらったというより、単純にお金がなかったせいで、苦肉の策で始めたんだ(笑)。マイクスタンドを持ってなかったんだけど、そしたらたまたま靴が目についたから」

ガス「角度がぴったりだと思って、その場で靴を脱いで(笑)」

――では、アルバム制作で音楽的にインスパイアされたもの、あるいは音楽ではないものでメンタリティーの面などでインスパイアされたものは?

マックス「歌詞についてはキャメロンの領域だけど、当時、僕らはまだ高校生で、時間が限られてたってことは大きかったんじゃない?」

ガス「そうだね。あと、音楽的なところでは、ここ何年かに出てきたUKのバンド――スクイッドとかブラック・ミディとか。いわゆるサウスロンドンシーンっていうやつ? ブラック・ミディなんてマジ最高だよね」

ブラック・ミディの2021年作『Cavalcade』収録曲“John L”

マックス「それは、ものすごく影響を受けてるよね。いままでにないアプローチで楽器を使ってたりして、めちゃくちゃ斬新だから。〈うわっ、こんなに実験的で新しいことをやってるバンドが現役で存在してるんだ〉って。それだけでも、相当インスピレーションになったな。僕らも実験的な音作りには前のめりなほうだし、それを実践してるんだから、マジかっこいいよ」

――じゃあ、アメリカの最近のバンドについては?

ガス「ディアハンターとかはめちゃくちゃ好き」

マックス「ディアハンターからはめっちゃ影響を受けてるね」

ガス「あのがちゃがちゃした感じとかね。あとはウィミン! ファースト(2008年作『Women』)なんて、名盤中の名盤だよ」

ウィミンの2008年作『Women』収録曲“Shaking Hand”

マックス「ウィミンはアメリカ人じゃなくて、カナダ人だけどね(笑)。ガレージバンド的な面の影響だと、オウシーズ(Thee Oh Sees、現Osees)とか――サンフランシスコのバンドだよね。あとは、グリズリー・ベアとか。ドラムに関しては、もろに影響を受けてる」

キャメロン「NY繋がりで言うと、インターポールとかLCDサウンドシステムとか」