インタビュー

高畑充希 『PLAY LIST』

演技と歌――〈PLAYすること〉と絶えず向き合ってきた彼女。その約10年の歩みを音楽として刻んだ、瑞々しいPLAY LISTがここに

高畑充希 『PLAY LIST』

 NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」から流れてくる歌声に、多くの人が惹きつけられた。透明でありながら、印象深い。その声の持ち主は、高畑充希・22歳。実は、すでに約10年近くのキャリアを持つ女優であると同時に、アーティストとしての顔も持っている。ベスト・アルバム『PLAY LIST』には、そんな彼女の歩みが余すところなく詰め込まれている。 

高畑充希 PLAY LIST ワーナー(2014)

  「私の音楽活動は、一貫してお芝居と共にあったんです。だから、アルバムはお芝居とセットで考えて選曲しました。〈演じること〉と〈歌うこと〉は、どちらも〈PLAY〉で表せるし。さまざまな場所でさまざまな時期に歌っていたものを、まとめたい気持ちも強かったので、集大成的な意味合いが感じられる『PLAY LIST』にしました」。

 いつの時代も〈歌う女優〉は存在したけれど、彼女の場合、〈歌〉と〈演じること〉の関わりはより深く運命的なものだ。

  「これまで歌手を志したことは一度もなかったのに、不思議ですよね。子供の頃から舞台役者になるのが夢だったけど、なかなかうまくいかなくて。初めて受かったミュージカルのオーディションに〈歌〉があった。そのときに歌ったのが、このアルバムの1曲目に入れた“FIND THE WAY”(中島美嘉のカヴァー曲)です」。

 その舞台で彼女の歌声に惚れ込んだ、現レコード会社のスタッフの導きにより、新人アーティスト〈みつき〉としてもデビューすることに。コブクロの小渕健太郎がプロデュースしたファースト・シングル“大切なもの”をはじめ、竹内まりや、槙原敬之など錚々たるミュージシャンが彼女のポテンシャルに引き寄せられて楽曲を提供した。

 「俳優としてのキャリアも浅いのに、いきなりCDデビュー。ごく普通の中学生だった私には刺激が強すぎて(笑)。当時、自分の歌の未熟さに悔いも残っていたんですけど、改めて聴くと、あの葛藤も含めて良かったのかな。小渕さんも竹内さんも、レコーディングに来て丁寧に作り込んでくださった。当時の音以上のモノは録れないと思う。私の歌も、技術は未熟だけど、“青い風”も“夏のモンタージュ”も、あの頃だからこそ出せた何かがあると思う。今回レコーディングした“alone”や“風”などの劇中歌も同じ。私の歌唱力は決して特別じゃないし、技術ももっと磨きたい。でも、一方では巧いだけじゃない、物語に寄り添った歌が歌いたいし、そのときの自分にしか歌えない歌を歌いたいです」。

 彼女にとって〈音楽〉は、そのときどきの自分を映し出してくれる鏡であり、人生の転機をもたらしてくれる福音だ。冒頭の「ごちそうさん」のなかで歌った“焼氷有り〼の唄”もそのひとつだ。

  「あの作品、あの曲に巡り合えて、すごく幸せでした。オーディションを受けて希子という役柄をいただいた後、森下さん(脚本の森下佳子)が私の舞台を観て歌を聴いて、〈希子にも歌う場面を作りましょう〉と言ってくださった。〈お芝居ありきで歌がある〉ことが嬉しかった。これまでは、歌でチャンスをいただくたびに嬉しい半面、複雑だったんです。〈私は歌だけ? お芝居も観てほしいのに〉という不安もあって。でも、たくさん演じて、歌ってきて。いまは、歌を求められる喜びも素直に感じられます。歌は私の個性のひとつだし、音楽は素晴らしいなって」。

 これまで巡り会い、積み重ねてきたことのすべてが彼女の内側で熟して、いま、一枚のアルバムとして実った。ここから、新しい高畑充希が始まる。

  

▼関連作品
左から、みつきの2008年作『COLOR』(ワーナー)、竹内まりやの外仕事集『Mariya's Songbook』(MOON/ワーナー)、菅野よう子が手掛けた2014年のサントラ『連続テレビ小説「ごちそうさん」オリジナル・サウンドトラック ゴチソウノォト おかわり』(ビクター)

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