Predawn A Golden Wheel Pokhara/HIP LAND(2013)

南壽あさ子『Panorama』の冒頭を飾る“サンセット・サイドストーリー”の波の音や鳥のさえずりは、実は人工的な効果音だそう。ジェントルなアコギの弾き語りが中心の本作も、ピアノやコルネットなどの楽器の他、DIYによる多様な音の断片がおとぎ話のような音世界の構築に一役買っている。 *土田

 

 

坂本真綾 シンガーソングライター flying DOG(2013)

優美な振る舞いと清らかな歌声を持つ存在として思い出すのは、20年にも渡って声優アーティスト界のトップランナーであり続けるこの人。たおやかさが際立つ最新オリジナル作を自身の作詞/作曲/プロデュースで作り上げた才媛は、ライヴでピアノの弾き語りも披露していますよ。 *土田

 

 

田中茉裕 I'm Here Great Hunting(2014)

『Panorama』と同様、ピアノとシンガーのメロディアスな対話に惹き込まれる本作は、鈴木慶一がプロデュース。ギターとドラム、ストリングスも交えた名うてのプレイヤー陣に支えられ、思いの丈を目一杯に伝えようとする懸命さが胸を打つヴォーカルも、一点の曇りもない透明感が南壽と共通。 *土田 

 

 

湯川潮音 セロファンの空 Pヴァイン(2015)

この最新作をはじめ、トラッド・フォークを基盤とするサウンドで、浮世からふわりと離れたノスタルジックな歌世界を築く彼女。鈴木惣一朗と組んだ良盤もこれまで発表してきているが、そんな音楽性に加えて南壽と重なるのは、シーンに現れた頃のどこか妖精のような佇まいかと。 *土田

 

 

高畑充希 PLAY LIST ワーナー(2014)

映画やTVドラマで演技しているときよりも、マイクを握ったときにいっそう芯の強さを窺わせる彼女。凛としているけれど微かに甘く、どこまでも澄み切っているその声の魅力は、〈みつき〉としてデビューした頃から変わらない。また、南壽と同様に優れたストーリーテラーでもある。 *桑原

 

 

沖ちづる 景色 むこうみずレコード(2015)

新世代フォーク・シンガーのひとりとして注目が集まるこの19歳。穏やかさのなかに揺るぎない意志を明確に感じさせるあたり、声質は異なれども南壽あさ子の歌声とダブるところがあり。彼女の初シングル“光”の編曲に南壽と同じく湯浅篤が関わっていることも付け加えておこう。 *桑原

 

 

ヘクとパスカル ぼくら REM/SPACE SHOWER(2015)

ヴォーカルの椎名琴音が一節口ずさむだけで清廉な空気がふわっと広がり、懐かしい思い出や風景が頭のなかで甦る。『Panorama』においても頻繁に体験できるあの特別な感覚だ。ときとして少女のような横顔を浮かべる彼女たちの無垢な歌声はいつも、ぼくらの胸を激しく掻きむしる。 *桑原

 

 

Eve yoru wo koeru TOWNTONE(2015)

独創性があってなんとも奔放な演奏が、広く評判を呼んでいる現役音大生の新星ピアノ女子。南壽と同じように彼女もまた静かな夜に美しく映えるような歌声の持ち主であるけれども、絵本のようなファンタジックな世界観が時折顔を出すところこそ、ふたりの共通点と言えるかもしれない。 *桑原