ノー・ローム(No Rome)『It’s All Smiles』シューゲイザーやインダストリアルなど異質な要素を束ねるポップセンス

2021.12.28

数々のヒット曲やFPを多く発表してきたマニラ出身、英レーベル〈Dirty Hit〉が送り出すNo Romeが満を持してデビュー・フルアルバム『It’s All Smiles』をリリース。今作では全曲作詞作曲を彼自身が行い、共同制作にBJ BurtonやThe 1975のメンバーを含む敏腕プロデューサーを起用。少しメランコリックな雰囲気を纏った楽曲たちはロマンチックでアーティスティック。片思いなど恋愛をテーマにした曲が多く、その歌詞は甘酸っぱく真っ直ぐなメロディラインと相性が良く中毒性のある仕上がりに。まるでひとつの物語を綴るように、若く研ぎ澄まされた感性のもとで制作されたアルバムと、今後の活躍から目が離せない。

 


デフォルト・ジェンダーズ、チャーリーXCX、1975とのコラボも注目を集めたフィリピン出身のシンガー/プロデューサーによるファースト・アルバム。ドリーミーな雰囲気を醸すサウンドスケープにはシューゲイザーの因子が感じられる一方で、“Space-Cowboy”や“How Are You Feeling?”ではインダストリアル的なざらついた質感の音色が際立つなど、特定のスタイルに依拠しない姿勢が光る。強いて言えばグライムスの『Art Angels』を想起させる瞬間が多い内容だ。全体的にメロディーは親しみやすく、譜割りも一度聴けば耳に残るものばかり。この点は若くして高いソングライティング力を身につけている証左にもなる魅力と言える。

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