太平洋戦争末期の京都で、原爆開発に挑んだ若者たちがいた……。昨年の終戦記念日にNHKで放送された同名のドラマをもとに、異内容の映画版として劇場公開した本作。ここでは、柳楽優弥が演じる石村修の視点を中心とし、彼の研究の日々を描くことに多くの時間を割いている。それゆえに終盤、原爆投下後の広島の惨禍を主人公が目のあたりにするシーンはとてつもなく重たい。修の弟、裕之を演じた三浦春馬は登場場面こそ少ないものの、その立ち姿から醸し出される繊細さ、柔らかさは、この映画に独特のオーラを纏わせているようで。この役者をもっと観たかった、と思わずにはいられなかった。