Lantern Paradeがディスコソウルのスタイルで新編成したバンドで初めてのライブを行う(2022年1月30日 東京・渋谷WWW、共演:北里彰久、DJ:やけのはら)。2020年春から続くコロナ禍の影響もあり、Lantern Paradeとしてのライブ自体がずいぶんひさびさの開催だ。

何より、そのライブが2021年8月に配信(その後、LPとCDでもリリース)した新作『love is the mystery』のリリースパーティーとなることが、とても重要だ。僕はフォークロックスタイルのバンド編成での2作目『魔法がとけたあと』(2015年)の時点でもLantern Paradeこと清水民尋に取材をしたが、その時点で〈静かでフォーキーなのは一段落したかもしれない〉さらには〈ディスコとかファンクみたいなのも、いつかやってみたい〉と彼は語っていた。

そして、まさに有言実行で目の前に提示された『love is the mystery』は、ダンスミュージックでありながら、Lantern Paradeとしての表現の揺るがなさを感じさせる異色のディスコソウルのアルバムになっていた。

インタビュー中に出てきた〈過去にありそうでなかった音楽〉というワードは、このニューアルバム『love is the mystery』から始まる新たな自分の音楽をどうとらえていくのかへの自問自答であり、同時にLantern Paradeの表現をずっと貫いてきた芯のようなものだとも感じる。2021年、冬の下北沢の街で、Lantern Paradeの音楽と言葉を一緒に考えていくようなインタビューになった。

Lantern Parade 『love is the mystery』 ROSE(2021)

フォークロックはもう〈やったから〉今はディスコ

――新作『love is the mystery』のようなディスコソウル的なアルバムを作りたいという思いはかなり前からあったそうですね。僕が約6年前にやった『魔法がとけたあと』リリース時の取材で〈ディスコとかファンクみたいなのも、いつかやってみたい〉という発言がありました。

「覚えてないくらい前からですね。10年くらい前にはもうそういう気持ちがあったと思います。フォークロック編成(2011年作『夏の一部始終』から曽我部恵一、光永渉らを迎えてスタート)をやる前くらいから考えていたかも。そもそも僕、(宅録の)ファーストアルバム(2004年作『Lantern Parade』)は四つ打ちですから(笑)。もともとがそっちで、その後、バンドでフォークロックをやってたことのほうがおかしいというか。

すごい昔に、僕はハードコアバンドをやってたんですけど、その頃から音楽はいろいろ聴いていたんです。アース・ウィンド&ファイアの“September”とか、めちゃめちゃいいなとは思っていました。そのうちいつかソウルやディスコ、ファンクもしっかり聴くぞとは思ってたから」

――でも自分がやる音楽ではないと思っていたわけですよね。それが今回、実現したのはどうしてですか?

「それは〈やったから〉ですね。ハードコアやフォークロックはもうやったから、気が済んだんです。もうやったし、そろそろいいかと思ったら次に行く、という。だから、今回ディスコアルバムみたいな作品を作った理由は、フォークロック編成でやりたいことはもうやったから。そういう感じです」

――確かに、以前のインタビューでも清水さんは〈静かでフォーキーなのは一段落かもしれない〉と言ってました。今回の曲はその〈一段落〉状態から作っていったんですか?

「フォークロック編成をやりながらもう作り始めていました。2017年くらいには、アルバムに入れた曲はほとんど出来ていましたね。コロナがなかったら、たぶん、去年(2020年)には出ていたと思います」

――コロナ禍は清水さんにとっても大きかったですか。

「レコーディング自体は2020年の2月くらいには終わっていたんです。コロナが始まるぞ、って頃ですね。まだそこまでひどくなる予兆はなかったけど、結局大変な状況になっていき、ミックスの作業が始まったのが10月、11月。そこからもまた間が空いたりして、音が出来上がったのが今年(2021年)の4月くらいでした。それをサブスクにアップしたのが8月でしたね。なるべく夏の暑さがまだある時期に出たほうがいいかなと思って」

――ディスコソウルは夏が似合う?

「いや、なんとなく。僕の代表曲“甲州街道はもう夏なのさ”(ファーストアルバムに打ち込みバージョンで収録。2013年にバンドバージョンで7インチシングルをリリース)は夏の歌だし。自分の音楽は夏っぽいのかなと思っていて。だからサブスクだけでも夏のうちにあげたかったんです」