ミクスチャー・シーンのレジェンドが帰ってきた! フレッシュな進化と新たなエピソードを備えた文字通りの『THE NEW ALBUM』は原点回帰を超えた風格と遊び心に溢れている!

 2020年に再結成を果たしたスケボーキングが、およそ13年ぶりのアルバム『THE NEW ALBUM』をリリースした。95年に結成された彼らは、ヘヴィーなヒップホップ × ロックに2MCを乗せたサウンドで90年代後半~00年初頭にかけて大ブレイクし、ミクスチャー・ロックのシーンを牽引したバンドのひとつだ。しかし、彼らはその領域に止まらず、エレクトロなどダンス・ミュージックを貪欲に取り込み、2010年に解散するまで自身の音楽性を広げていった。

 「スケボーキングには二面性、三面性があると思うんです。我々は好きなものをぶち込んだ〈闇鍋〉と呼んでいて、闇だから自分たちも何を箸で掴んだのかわからない。そのゴッタ煮感がこのバンドの良さなんですよ。昔から聴いてくれていて90年代後半から00年前半にノスタルジーを感じてくれる方もいるし、中期で急ハンドルを切った音楽性も我々の1ページなんです。今作でその両方を出せたらいいかなと」(SHIGEO、MC/ギター)。

 「資料では〈原点回帰〉と謳っているけど、単純にライヴをやりたいというところから始まってますから、僕はライヴを想像して作ったところがありますね。とはいえ、トラックは打ち込み色が多くて、そこに生のベースを乗せて、いままで培ったノウハウを活かして、久々にがっつりラップもしようと」(SHUN、MC/シンセサイザー)。

 「SHIGEOが曲の基本的なところを作ってくれて、そこにベースを入れる作業になるんです。今回のアルバム制作でも〈あ、こういうことをやりたいんだ!〉って驚いたところもあるし、それがおもしろかったですね」(MASH、ベース)。

スケボーキング 『THE NEW ALBUM』 THINGS(2022)

 もともとはライヴのために再結成したスケボーキングもコロナ禍の影響を受け、「制作するしかないじゃん」(SHIGEO)とモードを切り替えたそうだ。『THE NEW ALBUM』は上記の言葉の通り、がっつりラップした初期の空気感と、それ以降に培った多様なエレメントを落とし込んだ風通しのいいアルバムに仕上がっている。特に先行で配信された“不気味の谷”はMVを含め、SHIGEOとSHUNのハイ/ロウ・ヴォイスのツイン・ヴォーカルを武器に、ビースティ・ボーイズ愛が炸裂した楽曲だ。

 「原点と言うか、いちばん影響を受けたアーティストですからね。ただ、ビースティ・ボーイズには哀愁系の曲がないじゃないですか。それができるのは我々の独自性のひとつかもしれません。そういう部分も出していきたいなと。中学~高校はHR/HMが好きで、モトリー・クルー、ガンズ・アンド・ローゼズ世代なんです。メタル作品の中には一発キメのバラードが必ず入ってましたからね」(SHIGEO)。

「俺も原点は(モトリー・クルーの)“Home Sweet Home”ですからね(笑)」(SHUN)。

 もうひとつの先行曲“キャプテン隊長”のMVでは、“Child’s Replay”(2000年)のMVで登場したデロリアンにSHIGEOとSHUNが久々に乗車。MVのオチにはメタル雑誌・BURRN!(92年4月号)が使われ、遊び心もたっぷりだ。そうしたやんちゃな衝動も忘れず、大人びた表情を併せ持つところが新作の魅力になっている。

 「個人的には“ステイタス”が好きですね。ベックっぽい感じもありつつ、ただただ緩い感じでやろうと」(SHUN)。

 「ヴァーヴ“Bitter Sweet Symphony”が超好きで、この曲ではあの雰囲気をラップでやってみたいなと。それはSHUNさんのアイデアですね」(SHIGEO)。

 “ステイタス”は90年代のベックを思わせるローファイ感がありつつ、後半に向けて壮大なスケール感を帯びていく楽曲だ。また、夜景が似合うSHUYA(ターンテーブル)作の“sign”のようなメロディアスな曲調も実に味わい深い。

 「SHUYA節が炸裂した楽曲ですね。スケボーキングは僕が作る曲と、SHUYAくんのトラックの2本立てで、そこが背骨になっているんです。“いつかどこか”(98年)もそうですけど、この美メロは彼にしか出せない味ですね」(SHIGEO)。

 そしてファンにはお馴染みの、Dragon Ashと互いの作品で発表してきたコラボ・シリーズの最新弾として、Kjをフィーチャーした“EPISODE 7”も収録されている。

 「シリーズものだし、今回も入れたかったんです。お願いしたときに〈本当にあなたたちはいまの音楽業界で闘えるんですか?〉と言われましたけど(笑)、快く引き受けてくれました。しかも“陽はまたのぼりくりかえす”や『Viva La Revolution』の頃のラップと歌というか、あの時期の90s感でやってくれたのが嬉しくて、それは胸熱でしたね」(SHIGEO)。

 スキットなども織り込んで作品トータルで楽しめる『THE NEW ALBUM』。最後は、MASHの〈報告〉で締め括りたい。

 「 “ビートとベースとスクラッチ”は珍しくベースが前に出ている曲なんです。途中で〈ビートとたけしとスクラッチ〉という歌詞があるんですけど、僕の名前はたけしで、それは僕のことなんですよ(笑)。だから、ライヴでやるたびにそこでドキッとするんですよね」(MASH)。

 

左から、スケボーキングのベスト盤『ZOMBIE BEST』(ワーナー)、2008年作『RETURNS』(ARIOLA JAPAN)、Dragon Ashの2021年のシングル“NEW ERA”(MOB SQUAD)