ロバート・クラフトは〈118の質問に答える〉でストラヴィンスキーを質問攻めにしたインタヴュアーで、作曲家からその死まで信頼を得た指揮者。米国内の様々なオーケストラを指揮し、ベルクなど近現代作家の作品の米国初演を手がけ、コロンビアでシェーンベルク全集をG.グールドらと制作している。今回CD化されたウェーベルン全集は、コロンビアでブーレーズがその後制作した全集に先立ち、54-56年に制作された。作品番号順に収録され、最後は“音楽の捧げ物”の編曲、番号のない作品五重奏で締め括られる。反響音の少ない乾いた弦の響き、荒々しい“ピアノのための変奏曲”の二楽章、この録音でしか味わえない響き。