アルゼンチンのピアニスト、フアン・フェルミン・フェラリス・トリオ、そのトリオのデビュー盤。三人の音がとてもクリアに聴こえてくる。ドライな響きはあの国のパンパに吹く風と何か関係があるのだろうか? 彼は日本で人気の高いクリバスのメンバー。このアルバムに先駆けてソロのシングルをリリースしている。そのアルバムはなぜかネオソウルのように重かった。世界中にピアノ・トリオが溢れ、今やそれぞれがそれぞれの歌を唄う。ジョン・テイラーのトリオを聴いてヨーロッパを思い浮かべたように、このトリオを聴いて南米の街や風景を想う。メロディと向き合う音楽家が掬いあげるイメージは、多言語に翻訳されていく詩のようだ。