70年代から80年代にかけてのウェストコースト・ロックやAORを愛するロンドンのギタリスト/シンガー・ソングライターによるデビュー作。近年のAORフォロワーの作品群にも通じるクオリティの高い内容だが、美しいハーモニーやスムースなホーン・セクションなどを多用して、カリフォルニアの爽やかなイメージを強調している点が印象的で、そこが明らかに他のフォロワーとの違いを生んでいて新鮮に感じられる。本人が〈イーグルスとマイケル・マクドナルドの間に位置するようなレコード〉と語るのも納得の内容だ。さらに注目は彼のヴォーカルで、いかにもブルー・アイド・ソウル的でエモーショナルな歌声はどことなくドナルド・フェイゲンにも通じる素晴らしいもの。ルーツへの愛情に満ちた誇り高き一枚だ。