2022年11月3日、東京・表参道のWALL&WALLで開催された〈Hello, I am Hana Hope. ~ Hana Hope 2nd Single Release Live ~〉。 弱冠16歳にして、その才覚と歌声だけで正式なデビュー前からかなり注目を集めていた新世代シンガー、Hana Hopeによる初のワンマンライブだ。豪華かつ個性的なバンドメンバーとともに堂々たるパフォーマンスで〈Hana Hopeの音楽〉が繰り広げられた当日の模様をお伝えしよう。 *Mikiki編集部
幅広いオーディエンスが駆けつけた初のワンマンライブ
今年2月にシングル『Sentiment / Your Song』でデビューを果たしたシンガー、Hana Hopeが11月3日にセカンドシングル『きみはもうひとりじゃない / 16 - sixteen』をリリース。それを記念したライブ〈Hello, I am Hana Hope ~ Hana Hope 2nd Single Release Live ~〉が同日、東京・表参道WALL&WALLにて開催された。
TOWA TEIやROTH BART BARON、am8らの作品にデビュー前からボーカリストとして参加し、早耳のリスナーや音楽メディアの間で注目を集めていた彼女だけあって、会場には幅広い年齢層のオーディエンスが駆けつけていた。
美しいファルセットが心に染みわたる
静謐なアンビエントミュージックが流れる中、定刻になりステージに現れたのは、相対性理論のメンバーであり音楽プロデューサーの永井聖一(ギター)、Black Boboiやmillennium paradeのメンバーとして知られるトラックメイカーermhoi(シンセサイザー&コーラス)、そしてDAOKOのライブサポートなど様々なフィールドで活躍する網守将平(キーボード)といった面々。遅れてHana Hopeが登場し、まずはMaika Loubtéが作詞作曲を務めた未発表曲“The Ace”でこの日のライブは幕を開けた。ブレスをたっぷりと含んだHana Hopeのスモーキーな歌声が、抑制の効いたエレクトロニックなアンサンブルにじんわりと溶け込んでいく。
続く“Hatsukoi”は、am8が2020年にHana Hopeをフィーチャーして作り上げたフレンチポップ調の楽曲で、ケレン味あふれるメロディーとHana Hopeの美しいファルセットが心のひだに染みわたるようだ。
「みなさん、こんばんは。Hana Hopeです。今日は来てくださって本当にありがとうございます」。そう挨拶すると、会場から暖かい拍手が巻き起こる。「私は今年2月にデビューしたのですが、コロナ禍であまりライブが出来ずにいました。こうやってみんなの前で歌うことができて、すごく嬉しいです」。
柔らかな音色の4つ打ちキックに導かれ、流麗なアルペジオが鳴り響く。ROTH BART BARONが書き下ろした未発表曲は、60年代フォークロックを現在進行形のサイケデリアへとアップデートしたユーフォリックなナンバーだ。
しっくりと馴染む自作曲“16 - sixteen”、噛み締めるように歌った“きみはもうひとりじゃない”
ライブ中盤では、この日リリースされたセカンドシングル曲を続けて披露。Hana Hope自身が作詞作曲を手がけ、ROTH BART BARONがプロデュースしたチェンバーポップ曲“16 - sixteen”では、アコギに持ち替えた永井が英語で歌うHana Hopeのボーカルをそっと支える。豪華作家陣たちが手がけた完成度の高い楽曲たちに比べると、まるで野に咲く花を摘んできたような素朴で可愛らしい曲だが、やはり自分で作っただけあって彼女にしっくりと馴染んでいる。
そして、加藤登紀子が作詞、WONKの江﨑文武が作曲を手がけた“きみはもうひとりじゃない”は、童謡のようにシンプルかつ美しいメロディーと、強いメッセージ性を帯びつつ誰のことも否定しない優しい歌詞を、噛み締めるように大切に歌うHana Hopeの姿が印象的だった。
リスペクトを込めた坂本龍一、YMO、ビリー・アイリッシュのカバー
最初は緊張気味で硬かった彼女の表情が、オーディエンスの暖かいリアクションやサポートメンバーたちとのやり取りによって、徐々に和らいでいく。アカペラから始まったのは、柴田聡子が作詞を、UTAが作曲とプロデュースを手掛けた“それでも明日は”。来年1月に公開予定の映画「あつい胸さわぎ」の主題歌である。ストリングスサウンドを駆使した壮大なアレンジと、ermhoiによる美しい掛け合いコーラスが会場に広がっていく。
さらに坂本龍一『未来派野郎』(86年)より“Ballet Mécanique”のカバーと、YMO『BGM』(81年)より“CUE”のカバーを挟みつつ、自身のファーストシングルから“Sentiment”と“Your Song”を披露。鳴り止まぬアンコールに応え、彼女が尊敬するビリー・アイリッシュの“Halley’s Comet”(2021年作『Happier Than Ever』収録)をウクレレの弾き語りでカバーし、この日のライブに幕を閉じた。
あふれんばかりの笑顔を見せたピースフルなライブ
気鋭のミュージャンを率い、錚々たる作家陣に提供された楽曲や往年の名曲カバーを天性の歌声で披露したHana Hope。最初こそ緊張していたが、満員のオーディエンスが見守る中、最後はあふれんばかりの笑顔を見せていた。デビューして間もない、この日の彼女のライブは、まるで親戚の子の晴れ姿を見守るようなピースフルな空間だった。
SETLIST
1. The Ace ★未発表曲
(作詞・作曲:Maika Loubté Produced by Maika Loubté)
2. Hatsukoi
(作詞・作曲:am8 Produced by am8)
3. 書き下ろし未発表曲(タイトル未定)
(作詞・作曲:ROTH BART BARON Produced by ROTH BART BARON)
4. 16 - sixteen ★2nd Single
(作詞・作曲:Hana Hope Produced by ROTH BART BARON)
5. きみはもうひとりじゃない ★2nd Single
(作詞:加藤登紀子 作曲:江﨑文武 Produced by 江﨑文武)
6. それでも明日は ★未発表曲 映画「あつい胸さわぎ」主題歌
(監督:まつむらしんご 主演:吉田美月喜/常盤貴子 2023年1月27日公開)(作詞:柴田聡子 作曲:UTA Produced by UTA)
7. Ballet Mécanique
(cover 坂本龍一)
8. Sentiment ★1st Single
(作詞・作曲:Black Boboi Produced by Black Boboi)
9. CUE
(cover YMO)
10. Your Song ★1st Single
(作詞:麦野優衣 作曲:會田茂一 Arranged by 浦上想起)
encore
8. Halley’s Comet ★Hana Hopeウクレレ弾き語り
(cover Bille Eilish)
■出演
ボーカル:Hana Hope
ギター:永井聖一
キーボード:網守将平
シンセサイザー:ermhoi
RELEASE INFORMATION
リリース日:2022年11月3日
配信リンク:https://lnk.to/YouAreNotAloneAnymore
TRACKLIST
1. きみはもうひとりじゃない
(作詞:加藤登紀子 作・編曲:江﨑文武)
Musicians
Violin: 常田俊太郎 Cello: 村岡苑子 Guitar: 小川翔 Piano: 江﨑文武
2. 16 - sixteen
(作詞:Hana Hope 作曲:Hana Hope 編曲:ROTH BART BARON)
Produced by ROTH BART BARON
■ジャケットアートワーク
Photographer: Shiori Ota, Art Director: Junko Hoshizawa, Stylist: Tatsuya Shimada, Hair & Make up: chiho, Outfit: tiit tokyo
MOVIE INFORMATION
あつい胸さわぎ
監督:まつむらしんご
主演:吉田美月喜/常盤貴子
主題歌:Hana Hope “それでも明日は”
作詞:柴田聡子 作曲:UTA 編曲:UTA for TINYVOICE PRODUCTION
配給:イオンエンターテイメント/SDP
製作:映画『あつい胸さわぎ』製作委員会
2023年1月27日(金)全国上映
https://あつい胸さわぎ.jp/
LIVE INFORMATION
LIVE ballade Orchestra 2022
2022年12月2日(金)東京・上野 東京文化会館(大ホール)
開場/開演:18:00/19:00
音楽監督/編曲/指揮:長山善洋
編曲:岩永知佳/はらかなこ
ゲスト:Ms.OOJA/クリス・ハート/fumika/Hana Hope 他
ナビゲーター:ブラザートム
https://live-bo.jp/
PROFILE: Hana Hope
2006年生まれ。東京都出身。幼い頃から歌うことや曲作りが大好きで、ソロデビュー以前から何組ものアーティストからボーカリストとしての依頼を受け、高橋幸宏、佐橋佳幸、細野晴臣、ROTH BART BARON、TOWA TEI、鈴木慶一、am8など、錚々たるアーティストと共演。2020年には老舗レコーディングスタジオ、音響ハウスの映画「Melody-Go-Round」に出演。同名のエンディングテーマソングで同作を飾る。2021年には細田守監督の映画「竜とそばかすの姫」で声優デビュー。2022年2月にシングル『Sentiment / Your Song』でデビュー、国内外における数多くのプレイリストやチャートに入り、話題のニューカマーとなる。5月には〈FUJI & SUN ’22〉に初参加、これは本人にとっての初めての野外フェス参加にもなった。そして2022年11月3日、待望のセカンドシングル“きみはもうひとりじゃない”、そして初の自身の作詞・作曲による“16 - sixteen”をリリース、同日には初のソロライブを開催。また、これまでに日立、ソニー・コンピューター・サイエンス研究所、花王、JR東日本などのコマーシャルソングの歌唱やナレーションも行っている。16歳とは思えない表現力を持つHana Hopeは、まさにデジタルネイティブなZ世代。ジャンルを超えた幅広い音楽性を表現する、新世代のフィーメールシンガーである。