Hana Hope

〈若年性乳がん〉と〈恋愛〉をテーマに、母と娘の揺れる思いを繊細さとユーモアをもって描いた映画「あつい胸さわぎ」が、本日1月27日からついに公開される。気鋭の監督まつむらしんごがメガホンをとり、注目の若手俳優・吉田美月喜と名優・常盤貴子が主演を務める。そんな本作の重要な一部である主題歌“それでも明日は”を歌うのは、Z世代のシンガー・Hana Hopeだ。ここでは、Hana Hope、まつむら、吉田の3人が語った言葉から、主題歌と映画の関係性、さらにまつむらが監督した“それでも明日は”のミュージックビデオの撮影秘話をお伝えしよう。 *Mikiki編集部


 

物語の幕が下りたとき、主人公をそっと励ます曲

「また1つ、私にとって大切な曲が生まれました。こんなに素敵な映画に参加させていただけたこと、そして“それでも明日は”というナンバーと出会えた幸運に、心から感謝しています」(Hana Hope)。

聴き手の心にそっと寄り添う天与の声と、類い希なセンスで注目を集める16歳のシンガー、Hana Hope。亡くなった高橋幸宏が「僕たちの希望、そのもの」と称賛した彼女が主題歌を担当する映画「あつい胸さわぎ」が、1月27日より公開される。原作は演劇ユニット〈iaku〉を主宰する劇作家・横山拓也の傑作舞台。ある日突然〈若年性乳がん〉と診断された18歳のヒロインの葛藤を、「恋とさよならとハワイ」(2017年)で上海国際映画祭・アジア新人賞を受賞したまつむらしんご監督が、繊細で生命力に満ちた日常描写を通して描き出した。観終わった後、胸の中を爽やかな風が吹き抜ける。そんな青春映画だ。

「あつい胸さわぎ」予告編

「正直かなり緊張しました」。依頼を受けたときの心境を、Hana Hopeはこう振り返る。作品の持つ力強いメッセージや、そこに流れるアンビバレントな感情を歌で表現できるのか。「心配がなかったと言えば嘘になります」と。

「でも事前にストーリーラインを読ませていただいて、どうしてもチャレンジしてみたくなった。主人公の抱えたもどかしさや自己嫌悪、希望と不安の間で揺れる気持ちが、まるで自分のことみたいに思えたんです。その時点ではまだラッシュ映像は上がっていなかったので、いただいた歌詞をじっくり読み込み、自分なりに想像力を膨らませて。物語の幕が下りてエンドロールが流れたとき、主人公をそっと励ますような曲になればいいなって」(Hana Hope)。

 

映画と響き合う歌詞とサウンド

作品のメッセージを完璧に体現したリリックを提供したのは、シンガーソングライターの柴田聡子。トラックメイカーのUTAが作曲・アレンジを手がけた。ギリギリまで削ぎ落とされた言葉と、どこかノスタルジックなメロディーライン。

モノローグを思わせる冒頭のアカペラに、細やかな音が少しずつ折り重なって、気が付けば壮大な世界観が広がっていく。独特の囁くような歌い方と緩やかなテンポ、温かいサウンドのマッチングがすばらしい。

“それでも明日は”ミュージックビデオ

「最初にデモを聴いたとき、導入部がとても印象的だったんですね。何だろう、言葉と言葉の間に微妙な隙間があって、ちょっと孤独な感じがしたというか。懸命に自分に言い聞かせているイメージが浮かびました。でも、楽曲が進むにつれてそれが自然に繋がっていって。いろんな音色がボーカルを包み込んでくれる。未来に向かって一歩踏み出す勇気が湧いてきます。そんなアレンジが、物語自体と響き合っている気がして。レコーディングの際も、そういう起伏やストーリー性みたいなものはすごく意識しました」(Hana Hope)。