寂しい気配の漂うタイトルである。著者の松村雄策氏は2022年の3月に他界されてしまったのだ。ロッキング・オンの始動に係わった方の最後の著書。過去の評論とか対談を集めた〈ベストオブ松村雄策〉ではなく、エッセイ集となっているが、時々エッセイの中に〈いつまで生きているだろう〉とか〈死ぬまでに~~〉などという文があるのが切ない。私と4歳しか年齢は違わないのに、ビートルズ、特にポール・マッカートニーに対する熱量が凄いのだ。この熱量がなければこういう仕事はできないのだろうなと思わされる。その熱量を私達はどこまで受け止められるのだろうか。私の樹には誰がいるのだろう?