ケルンを拠点にコンチェルト・ケルンのコンマス陣に名を列ねるなど、古楽演奏の最前線で活躍する平崎真弓。秀逸の前作『スコルダトゥーラの技法』が導きの糸でもあったかのように、変則調弦の奥義を究めたビーバーの最高傑作“ロザリオのソナタ”を録音。17世紀ヴァイオリン音楽のひとつの頂点を成し、果てのない深奥を秘めるこの大作、作品に奉仕する技法の追究、聖なる秘匿の趣さえ感じさせる精密な構造の内蔵、そこから聴き手に開示される内的なドラマの生成は、ある種の体験とさえ言える。ショルンスハイムはじめ名手たちによる通奏低音の協和と共に奏される平崎が降り立った混じりのない境地を享受したい。