ブレない私らしさ

 これまでの彼女のアルバムのタイトルには〈TOKYO〉の文字が必ず入っていたが、新作の表題となる『東京女神』は、女神のようにリスナーを音楽で魅了し続けるアーティストでいたいという野望も込めて名付けたものだという。〈TOKYO GIRL〉から〈東京女神〉へ――この10年で進化した彼女を表すには格好のタイトルかもしれない。

 「私は生まれも育ちも東京ですし、日本から海外へ向けて日本らしい楽曲を発信したいと思っていて、楽曲には意識的に〈和〉を感じさせる雰囲気を持たせています。デビューしてから、いろんな変化があるなかでブレない私らしさを追求して、自分の中にあるさまざまな思いを歌にしてきました。いろいろな感情に寄り添ってもらえるよう作った曲ばかりなので、〈女神〉というワードは今回のアルバムを象徴するぴったりなタイトルになりました」。

 その自信に満ち溢れたスタンスを力強いラップと共に表明するタイトル曲を筆頭に、彼女が主張するのは、誰の色にも染まることなく、自分だけのスタイルを貫きながら生きていく覚悟。その信念が特に強く表れているのが、流行り廃りや上辺だけの人間関係に溢れた〈東京(=都会)〉ではなく、〈田舎娘〉として生きることの矜持を歌った“Country Girl”だ。その皮肉めいた構図、カントリー×ヒップホップ調に仕立てられたビートの中毒性の高さも込みで強烈な一撃になっている。

 「最初の“東京女神”で〈これがTANAKA ALICE〉というものをイントロデュース的に見せて、2曲目の“Country Girl”以降は私の中にあるいろいろな感情や世界観をテーマパークのようにワクワクする気持ちで楽しんでいただければと思っていて。特に“Country Girl”はMVも西部劇のワンシーンみたいな映像になっているので、ぜひMVと一緒に楽曲を楽しんでほしいです」。