みんなを元気付けるリリー的なビッチたちは、音楽シーンの至るところに!
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〈自分流のオシャレを楽しもう〉とか〈好きな男は手放しちゃダメ〉とか、そういう日常の思いを、UKベースやダンスホール、モータウン・ビートをゴツゴツ呑み込んだ音に乗せ、ラップ混じりの歌でブチまける彼女。リリーも絶賛した本作から3年、5月末にはついに2作目が!!
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リリー作品に関与して一躍時の人となったプリンス・ファッティが手塩にかけて育成中のレゲエ・シンガー(父親はセックス・ピストルズのポール・クック)。カリプソなどヴィンテージな音に都会的なダブを重ねる作りは、登場時のリリーを思わせます。彼女の新作も間もなく!
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どんなに悪態をつこうとも、育ちの良さと知性が滲んでしまうリリー。そんな彼女の音楽にケシャのような庶民的風情をプラスしたら、きっとこのアルバムに近いものが出来るんじゃないでしょうか。例えば、リリーの出世曲“Smile”をうんとキャッチーにしたような本作収録の“Gasoline”とかね。
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US本国だと立ち位置の微妙なデヴも、UKでは本作収録曲“Bass Down Low”がヒットするなど、その越境感が支持されている模様。リリーやレディ・ソヴァリンらが作った〈グライム以降のメインストリーム・ポップ〉な流れに立つ歌い手ですね。
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『Sheezus』に収録されたトラップ系のビートで始まる冒頭曲やサウスなノリの“L8 CMMR”は、アルバムを間近に控えるこの白人ラッパーのアプローチとよく似ている気がします。なお、2人はかつてアジーリア・バンクスとビーフを繰り広げたこともあり、敵の敵は味方か!?
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〈ポスト・リリー〉なる触れ込みで2010年にデビューしたロンドン娘。この2作目ではキッド・ハープーンらのサポートを得て、ドラムンベースっぽいビートが楽しい“Back Packing”他、レトロ・ソウルをモダンに解釈し、『It’s Not Me, It’s You』的な音世界を展開しています。
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飾らない自分を見せようとするあまり、素っ裸になってしまった処女作。〈ピート・ドハーティならOKなのに、何で私の言動は叩かれるのよ!?〉と女性を蔑視する世間に腹を立て、甘いメロディー上でノイズを纏いながら毒を吐きまくる彼女のことも、敬意を込めてビッチと呼びたい。
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リリーの大ファンであることを告白済みの彼女は、フローレンス・ウェルチ系の高尚さを漂わせてツンとすましていた初作から一転、この2作目でエレクトロクラッシュやダブステップへとポップに接近。こうしてカジュアルに踊っているほうが、キミには似合ってるよ!
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リリーがかつて切り盛りしていた洋服屋の常連客で……という話はさておき、先輩よりも一足お先にシェルバックとコラボした彼女。本作で聴ける跳ねたビートが格好良いオリエンタル・エレポップ“You(Ha Ha Ha)”は、“Air Balloon”の雛形とも言うべき名品です。
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リリーやケイティ・ペリー的なガール・パワーを掲げる17歳の日本代表選手。この新作は天真爛漫なEDM系のサウンドで構成されていますが、自身を〈ナーディー〉と形容するなど斜めな視点も備えていて、そのギャップが複雑な乙女心にフィット。
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リリーのレーベル(現在はお休み中)が初めて契約を結んだNYのデュオによる2作目です。オールディーズ × 60sサイケを密室ポップ化させていて、リリー的なポスト・フェミニズムがUSインディーにも浸透しているひとつの好例。
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エレクトロ成分をたっぷり含んだ簡素なビートにセンチなメロディーを乗せていく『Sheezus』内の女子会讃歌“Our Time”が気に入ったら、音もリリックもそれと同路線の本作収録曲“BFF(Bestfriend)”をぜひ聴いてみて! 愛すべきビッチの共通点は友達思いってことです。