ニック・ドレイクの最後の作品であり英国フォークの名盤『Pink Moon』。うつ病に苦しみながら、ほぼギター&ヴォーカルのみでわずか2日間で録音された生々しい作品を、ロンドンの若手ピアニストがソロ・ピアノでカヴァー。ニック・ドレイクの3枚のアルバムの中でも最もシンプルな音像だが複雑な感情が表現された本作を、よりシンプルなピアノひとつで演奏する難しさを彼は見事に自分のものとして表現している。オリジナルが持つ美しくも儚い旋律を暖かみのあるピアノで聴かせる様は、まるで絶望の中にいるニック・ドレイクに希望の光を照らしているかのよう。