〈舞台だけではない演奏家たちの強烈な個性を記しました。〉との帯文に偽りなし! 日経新聞編集委員を経て、現在はフリーの音楽ジャーナリストとして活躍する著者は、40年以上にわたって音楽界を取材し続けてきた。その中で出会った30人の物故演奏家について綴ったのが本書だが、インタヴュー経験がないのはカラヤン、アラウ、山田一雄の3人だけ。チェリビダッケ、スターン、武満徹という伝説的存在を含む27人はインタヴュー経験があり、プライ、岩城宏之、若杉弘など深く親交を結んだ人もいる。本書にある彼らの発言が極めて生々しいのはそのためで、まさに〈舞台だけでない〉彼らの生き様が身に迫ってくる。