クリスタルなシンセの音色に乗って、おかしな二人がまたやってきた! 寿司からラジオ、MJまで大集合のセカンド・アルバムは、史上最大のポンズ旋風を巻き起こす!!

 80年代の音楽やカルチャーをモチーフに、笑いとキャッチーさと激しさが詰まった独自の音楽としてアウトプットするザ・リーサルウェポンズ(以下ポンズ)。彼らは、作詞作曲からMVの監督までを務めるアイキッドと、アメリカ人ヴォーカリストのサイボーグジョーによるロック・ユニットだ。

 「もともと我々は、東京中野区の都立家政という街の飲み仲間だったんです。楽しいことをしようよってジョーくんを誘ったところから始まって、それが段々と大きくなった感じですね」(アイキッド)。

 「最初、すごく楽しいギャグ・バンドじゃないか!って思ったよ!」(サイボーグジョー)。

 ポンズは、2019年1月に“80年代アクションスター”のMVを公開、さらに“きみはマザーファッカー”のMVがバズって注目度急上昇となった。ポンズの音楽は映像とのリンク度が高い。低予算ながらもアイデア満載のMVは、どれも秀逸だ。

 「音と映像は同時進行ですね。曲のコンセプトを作った時点でMVのイメージ作りも始まってるんです」(アイキッド)。

 またポンズの楽曲は笑える要素が満載ながらも、その奥には風刺の効いた批評性が込められている。

 「それは完全にアメリカン・コメディーのイメージですね。私は『シンプソンズ』がいちばん好きなアニメなんですけど、あれはバカっぽいセリフのなかにとんでもない刃が入ってる。それをやってる感じ。しかも、日本人が言ったらダメなことでも外国人ならオッケーだったりするじゃないですか。そのシステムを使ってます(笑)」(アイキッド)。

 「僕はスケープゴートだよ~。でも、楽しいよ!」(サイボーグジョー)。

 聴けば聴くほど知れば知るほど旨味が増してくるポンズ・ワールド。彼らは2022年2月にメジャーでのファースト・アルバム『アイキッドとサイボーグジョー』を発表。今年は全国ツアーやZepp Shinjukuでの2デイズ公演を大成功させるなど、熱狂的なポンザー(ポンズのファン)の輪は拡大中である。そんなポンズが、セカンド・アルバム『OKシンセサイザー』を発表した。

ザ・リーサルウェポンズ 『OKシンセサイザー』 ソニー(2023)

 「前作はいろんなジャンルの入ったごった煮的なアルバムでしたが、今回は意識的にシンセサイザーをフィーチャーしました」(アイキッド)。

 上坂すみれを招いた“ねこねこヘヴン ”、眉村ちあきをフィーチャーした“サムライディスコ ”、宇多丸(RHYMESTER)とスーパー・ササダンゴ・マシンが参加した“シューティングスターレディオ”では、個性の塊のような面々とのコラボが実現。

 「表現の幅を広げたくて、いろんな人とコラボしたかったんです。コラボ曲は、どれも最高の仕上がりになりました。作家陣も、Shinnosuke(buzz★Vibe、元SOUL’d OUT)さん、ベルメゾン関根(Satellite Young)さんがアレンジしてくれたり、しょこたん(中川翔子)などを手掛けられた齋藤真也さんが全体のディレクションをしてくれたりと、これまでとは違うポンズのサウンドが作れたと思います」(アイキッド)。

 シンセウェイヴ全開の“ボウズ”、寿司ネタたっぷりの“スシダンス”、マイケル・ジャクソンに捧げるバラード“キングオブポップ”など、アルバムにはカラフルなナンバーが並ぶ。なかでも2人がお気に入り曲として挙げたのは、青春感溢れる爽快な“ウェザーリポート”だ。

 「男子校出身の私が想像で書いた恋愛の歌詞をデュエットして歌っています(笑)。MVでは、私がセーラー服、ジョーくんが学生服を着て」(アイキッド)。

 「ビューティフル・メロディーで、聴くと日本人になりたい!って思うよ」(サイボーグジョー)。

 強力な新作『OKシンセサイザー』を作り上げたポンズは、11月11日(土)に東京・両国国技館でのワンマンライヴ〈地獄の国技館バトルロイヤル〉に挑む。音楽とプロレスのクロスオーヴァーが繰り広げられる両国一大決戦への意気込みは?

 「この公演は、脚本・演出など全部私がやります。1曲ごとに人が出てきてリングで乱闘するんですが、音楽とプロレスがしっかり融合した、最高のサウンド・バトルロイヤルを期待していてください!」(アイキッド)。

 「アイ・アム・ベリー楽しみ! がんばるしかないわ! それだけだー!」(サイボーグジョー)。

ザ・リーサルウェポンズの近作。
左から、2020年作『Back To The 80’s』(イロモンレコード)、2022年作『アイキッドとサイボーグジョー』(ソニー)

『OKシンセサイザー』に参加したアーティストの近作。
左から、RHYMESTERの2023年作『Open The Window』(ビクター)、上坂すみれの2022年作『ANTHOLOGY & DESTINY』(キング)、眉村ちあきの2023年作『SAI』(トイズファクトリー)