ジャズピアニストでありながらメタルファンとしても知られる西山瞳さんによる連載〈西山瞳の鋼鉄のジャズ女〉。今回は、バリバリのメタル作品、というわけではありませんが、HR/HMの影響を多分に受けたであろう二人組ロックユニット、ザ・リーサルウェポンズのメジャーファーストアルバムを取り上げます。『アイキッドとサイボーグジョー』は昨日2月23日にリリースされ、好評発売中です!  *Mikiki編集部

★西山瞳の“鋼鉄のジャズ女”記事一覧


 

年明けから80年代HR/HMばかり聴いています。

先月のこの連載は、Netflixドラマ「コブラ会」で使われている80年代楽曲について

そして、タワレコ企画盤『DEFINITELY METAL - 80’s HR/HM EDITION』の記事と続き、80年代HR/HMづくしでしたが、今月は、この令和4年に投下される最強80年代キラキラサウンドの新譜をぜひ取り上げたい。

ザ・リーサルウェポンズのメジャーファーストアルバム『アイキッドとサイボーグジョー』です。

 

「これはメタル括りではないとは思うのですが、根底に80年代HR/HMが横たわっているということで、ぜひここで取り上げたいのですけど」と編集さんに伝えたら、「ぜひとも取り上げたいけど、扱うべきコーナーがないのでちょうど良かったです!」とのこと。

でしょうね!

 

私が最初に出会ったのはこちらです。

知る人ぞ知る、中野区は都立家政のメタルスポット、ブックマート都立家政店のオリジナルソングPV。

 

遡ること2016年、新宿のロックバーでのメタルのイベントで、ぎゅうぎゅうに混雑した店内に息苦しくなって店の外の階段踊り場に空気を吸いに出たら、先客に金髪のお兄さんがいました。

高円寺メタルめし店主が共通の知り合いということで話が盛り上がり、そのお兄さんは都立家政でブックマートという古書店をやっているとのことが判明。

なんだか面白そうだなと後日お店を訪ねてみると、古書店なんですが明らかに様子がおかしい。なんと形容してよいやら、扱うものは本やCDだけでなく、メタルTシャツや楽器、おもちゃ、楽器、ブッダマシーンまである。そしてメタル推しなんです。それも、イングヴェイとかハロウィンとかそっち系の。ブックオフとハードオフとヴィレッジヴァンガードが都立家政味と店長味に染まったという感じですかね、カオスで面白いんですよ。

 

それからほどなくしてお店のPVが完成したと告知があり、観たのが上記PV。

80年代HR/HMを下敷に作られた楽曲に、謎の歌手、観た人の記憶に残りまくる謎のPV、癖になって何度観たでしょうか……。もう、関西人が〈関西電気保安協会〉を普通に言えないのと同じように、〈都立家政のブックマート〉を普通に言えなくなってしまいました。

 

そうこうして、都立家政ブックマート店の常連客で、先のPVの制作を行ったアイキッドと、歌声を披露していたサイボーグジョーによってザ・リーサルウェポンズが爆誕。2019年に突然“80年代アクションスター”という楽曲のMVが投下され、あのMVを観ていた人はみな同じく〈まじか!〉と思ったことでしょう。

あれ以降も彼らのことはまめにチェックしていましたが、以前よりシンセのサウンドを分厚くし、80年代感を大幅増量。ギターのサウンドも好きですが、シンセの効いたあまりに懐かしいキラキラサウンドにこちらの笑顔も大幅増量です。スタローンもエクスペンダブルズも好きですし(エクスペンダブルズのDVD全部持っていて疲れた時に観てます)。