毎週火曜(歌謡)日に更新中の、Mikiki編集部員とTOWER DOORS担当・小峯による、最近トキめいた邦楽曲をレコメンドする週刊連載〈Mikikiの歌謡日!〉。今週は第55回です。紹介した楽曲はSpotifyのプレイリストにもまとめているので、併せてお楽しみください。 *Mikiki編集部

★〈Mikikiの歌謡日!〉記事一覧

Spotifyプレイリスト
 

【小峯崇嗣】

Sahnya “kite”

新潟県を拠点に活動するSSW、Sahnyaによる新曲”kite”が先週リリースされました。今回の新曲はネオソウルを感じられるメロウでジャジーなテイストに仕上がっています。彼女によって紡がれる歌詞は、優しくも現実も突き付けてくるメッセージの籠った一曲。(歌詞はYouTubeのコメント欄にあります。)以前TOWER DOORSでは、彼女にメール・インタビューを行っていますので気になった方はぜひ一読を。

 

ALFRD “Who?”

新鋭レーベルmakranに所属のALFRDが、新曲”Who?”をリリース。Sci-Fiでエレポップな質感なトラックに、現行のR&Bの要素も組み合わせたダークでもあり鮮やかな一曲。彼のファルセットな歌声がこの楽曲の魅力をより惹きたてています。

ALFRDにもTOWER DOORSから〈6つの質問〉を行っています。昨年リリースされたアルバムについても触れていますので気になった方はこちらも要チェックです。

 

illiomote “What is??”

幼馴染であるYOCOとMAIYAの二人によって結成されたバンド、illiomoteが4月8日(水)にリリースする初のEP『SLEEP ASLEEP...。』から”What is??”を先行配信。彼女たちは以前FASHIONSNAPの記事で影響受けたアーティストにアブリル・ラヴィーンなどを挙げており、今回の新曲はその影響が色濃く感じられるような、ポップでロックなテイストに仕上がっています。最近で言ったらDirty Hitに所属のbeabadoobeeやノルウェーのgirl in redなどに共振しそうな先鋭的なサウンドを秘めていると感じます。

 

【酒井優考】

chelmico “Terminal 着、即 Dance”

タイトルからしてパンチライン。一度聴くと絶対耳に残ります。

 

ゆらゆら帝国 “美しい”

今日で解散から10年だそうです。

 

ザ・リーサルウェポンズ “コXナマザーファッカー”

(ノーコメント)。

 

【天野龍太郎】

に角すい “そこは豪雨、ここは雨”

折坂悠太(合奏)のメンバーとしても知られる飯島はるかさんと平沢なつみさんによるバンド〈に角すい〉のシングル。8分を超える大作で、音と声によるドラマがめまぐるしく展開されていきます。おそるべき音楽的イマジネーション。ふるえます。

 

AMIKO “ダンスホール”

AMIKOさんの新曲にして、戸田真琴監督の映画「永遠が通り過ぎていく」(2019年)のエンディング・ソング“ダンスホール”。歌とピアノ、電子音、環境音の幽玄な折り重なりが、繊細で儚い情景を描いていく。劇的にして鮮烈。ノイズすらも美しく響くこの音世界は、ニコラス・ジャーの新作『Cenizas』と隣り合ったもの。AMIKOさんの歌と音は、ジュリアナ・バーウィックやグルーパー、ジュリア・ホルター、ジェニー・ヴァル、カーラ・ダル・フォルノ、アースイーターといったエクスペリメンタルな音楽家たちの作品との共振を感じます。

 

象眠舎 “The Way We Were / 追憶”

リーダー・バンドのCRCK/LCKSでの活動やTENDREでのサポートなど、八面六臂の活躍を見せている多忙な音楽家、小西遼さん。彼のソロ・プロジェクト〈象眠舎〉が新曲をサプライズ・リリース。予告をしておきますが、4月15日(水)に発表される象眠舎の“まほう feat. 中村佳穂”は、とんでもない曲です。この“The Way We Were / 追憶”は、(もちろん一曲として完成されていますが)その序章、象眠舎というプロジェクトの〈まえがき〉としても聴ける、と言えるでしょう。ここから先に何かが待ち受けていることを予感させる、深く遠く広がっていく音の景色。象眠舎については小西さんの濃いインタビューも収録済みですので、どうぞお楽しみに。

 

Nerubeats feat. Uyeon “Test Me”

Local Visionsからのニュー・リリースは、〈Kawaii R&B〉のプロデューサー、Nerubeatsさんの2曲入りシングル『Pretty Little Distance』。収録曲はそれぞれUyeonとCherry :Dという韓国のシンガー/ラッパーをフィーチャー。K-Popのハイファイで洗練された意匠、現代的なトラップ・ポップ、そしてフューチャー・ベース以降のエレクトロニック・ミュージックのエッセンスが絡まり合って、めくるめくダンス・ポップに昇華されています。とにかく驚きの一曲。“Your Red”も必聴。

 

tofubeats “陰謀論”

ニューEP『TBEP』から。まずトラックリストを見たとき、この曲名にぎょっとしたんですけど、その〈ぎょっ〉をいい意味で裏切ってくれました。“クラブ”にしろ、この“陰謀論”にしろ、いまtofubeatsがクラブやダンスについて歌っていることには、この非常時にぐっとくるものがあります。いいリリック。ビデオが最高!

 

徳利 “きらめく”

徳利からの手紙”から7年と少し。徳利さんがついにリリースしたファースト・アルバム『REVOLUTION』から。愚直でささやかなラブソング。ビートはtofubeats!

 

MIYACHI “MASK ON”

話題の新型コロナウイルス感染症対策ソング(?)。フューチャーの“Mask Off”をもじって、〈外出るなら必ずマスク〉とMIYACHIはラップしています。マスクって、もはやストリート・ファッションの一部になりましたよね。

 

ガクヅケ木田 “VICTORY(ガクヅケ木田ver.)”

ただひたすらにSexyZoneの佐藤勝利さんへの愛を歌い上げたことで話題になった(炎上した?)一曲。〈とにかく今から少しだけ冗談みたいに笑うね〉という歌詞がいい……。プロデュースはマーライオン。

 

ねもぺろ from でんぱ組.inc “♡夜ふかし乙女のドキドキはっぴぃでぃず♡”

シングル表題曲を聴いて、いろいろな意味で食らってHPがゼロになったのですが、“ベイビィ・ポータブル・ロック”っぽい渋谷系なカップリング“♡夜ふかし乙女のドキドキはっぴぃでぃず♡”にハートを撃ち抜かれました。表題曲とカップリング、共に作詞作曲は村カワ基成さん。

 

【田中亮太】

CHAI “NO MORE CAKE”

ざらついていてノイジーなブレイクビーツも、サーカスティックな笑い声を効果的に使ったラップも、サイケなコーラスもめちゃくちゃかっこいい。今年の〈Best New Track〉のひとつだと思います。ビッグ・ビート時代のノーマン・クックにリミックスしてほしい!