コラム

シンガー伊藤蘭を知るための作品 キャンディーズ以来46年ぶりの紅白出場目前、歌手としての魅力に迫る

シンガー伊藤蘭を知るための作品 キャンディーズ以来46年ぶりの紅白出場目前、歌手としての魅力に迫る

伊藤蘭が紅白に〈初出場〉

2023年も例年どおり12月31日(日)に放送される「NHK紅白歌合戦」。今年の第74回は、いま音楽界をリードする若手や中堅アーティストの初出場が多いのが特徴で、幅広い年齢層の音楽ファンの間で話題になっている。

そんな中で注目したいのは、あるベテランシンガーの初出場である。厳密には初出場ではなく4回目で、46年前の77年、第28回にグループで出場している。そう、元キャンディーズの伊藤蘭だ。

紅白でのパフォーマンスには期待がかかっているが、俳優として長く活動してきただけに、そもそも彼女の歌手活動について知らない方も多いのではないだろうか。というわけで今回は、〈シンガー・伊藤蘭〉を知るための作品を紹介しよう。

 

伝説のアイドル、キャンディーズが残した名曲

まず、キャンディーズ時代について。東京音楽学院のスクールメイツ出身である伊藤蘭(ラン)、藤村美樹(ミキ)、田中好子(スー)の3人がNHKの番組「歌謡グランドショー」のマスコットガールに選ばれ、キャンディーズは72年に結成された。73年にシングル“あなたに夢中”でデビューし、77年の日比谷野外音楽堂でのコンサートで解散を宣言、78年に後楽園球場でお別れコンサートを開催。活動期間はわずか4年半(!)だが、説明するまでもなく日本の歌謡史とアイドル史にその名を刻んだ伝説的なグループだ。

そんなキャンディーズが残した作品は、作詞作曲と編曲、演奏や録音を含めて、歌謡曲の黄金時代を象徴する名曲ばかり。しかし、先日NHKの番組「名盤ドキュメント」で取り上げられたことも評判を呼んだ初の全曲オリジナルのアルバム『年下の男の子』(75年)などのスタジオアルバムは現在、残念ながら廃盤だ。とはいえ2019年に配信がスタートしたので、ストリーミングサービスではライブ盤などを含めて全作を聴くことができる。

キャンディーズ 『年下の男の子』 CBS/ソニー(1975)

なのでCDなどのフィジカルで手に入れられるのは、ベスト盤が中心。最新ベストは、今年リリースされたデビュー50周年記念作品『The Platinum Collection ~50th Anniversary~』。同作は伊藤と藤村が企画に初めて参加したもので、2人の対談がブックレットに掲載されている。

キャンディーズ 『The Platinum Collection ~50th Anniversary~』 ソニー(2023)

収録内容は、ディスク1はシングルA面、ディスク2はシングルB面、ディスク3は伊藤のフェイバリット、ディスク4は藤村のフェイバリット、ディスク5は伊藤&藤村の〈アワ・フェイバリット・コレクション〉という豪華なもの。“年下の男の子”(75年)、“ハートのエースが出てこない”(75年)、“春一番”(76年)、“夏が来た!”(76年)、“暑中お見舞い申し上げます”(77年)、“微笑がえし”(78年)など、数え切れないほどある代表曲・名曲はもちろん網羅されている。さらに隠れた名曲、レア曲も収録されているので、往年のファンも入門者も手に入れたいアルバムだ。リリースにあわせてタワーレコードのアイドル企画〈NO MUSIC, NO IDOL?〉に初登場したことも、話題になった。

 

『The Platinum Collection』は仕様の豪華さもあって少々高額だが、もう少し気軽に買えるところではベストセラーの『ゴールデン☆ベスト』シリーズがおすすめ。ヒットシングルを全曲網羅し、貴重音源のリミックスメドレーも収録した2枚組『ゴールデン☆ベスト キャンディーズ』(2002年)と、シングルA面に特化した1枚組『ゴールデン☆ベスト キャンディーズ コンプリート・シングルコレクション』(2011年)が決定版だと言える。

キャンディーズ 『ゴールデン☆ベスト キャンディーズ』 Sony Music House(2002)

キャンディーズ 『ゴールデン☆ベスト キャンディーズ コンプリート・シングルコレクション』 Sony Music Direct(2011)

78年4月4日に開催された、前述のファイナルコンサートを収めたDVD「CANDIES FOREVER」(2006年)も、在庫僅少だが販売中。ビジュアル表現も当然重要だった伝説のアイドル3人の、貴重な勇姿を見ることができる。

キャンディーズ 『CANDIES FOREVER』 GL Visual(2006)

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