2024年最注目の新人、離婚伝説。初のアルバムはセルフタイトルを冠した10曲入りだ。離婚伝説にとって初めて最後まで完成させた楽曲であり、抜群の中毒性が話題を呼んだ“愛が一層メロウ”をはじめ、AOR、ファンク、シティポップ、歌謡曲、ソウル、R&B、フュージョン……といった、松田歩(ボーカル)と別府純(ギター)の多彩なルーツが詰まった1枚になっている。Kroiの千葉大樹(キーボード)、BREIMENのSo Kanno(ドラムス)、DENIMSの土井徳人(ベース)といった2人のフェイバリットアーティストたちも参加。離婚伝説ならではの極上のフックがちりばめられた情景豊かな楽曲群が生まれる秘密を探った。
好きな音楽を詰め込んだセルフタイトル作
――「関ジャム 完全燃SHOW」の〈プロが選ぶ年間マイベスト10曲〉で川谷絵音さんが“愛が一層メロウ”を選び、Spotifyの〈RADAR: Early Noise〉や「バズリズム02」の〈これがバズるぞ!BEST10!〉など注目のアーティストを取り上げる複数の媒体で選ばれましたが、いかがですか?
松田歩「反響はやはり大きいです。サブスクの再生回数が増えたり、これまで応援してくれていたファンの方も喜んでくれて光栄です」
別府純「嬉しい限りです」
松田「ただ、あまり注目が集まっているという実感はないので不思議です。サブスクの再生回数が増えても僕らは何も変わっていない(笑)」
別府「多少、忙しくなりました」
松田「……いや、結構忙しいです(笑)!」
別府「かっこつけちゃいましたね(笑)」
松田「まだまだ余裕です(笑)!」
――そんな中リリースするファーストアルバム『離婚伝説』は、どんなアルバムを目指しましたか?
松田「新しいアプローチやテーマは特に設けず、記念すべき1枚目のアルバムなので、自分たちの好きな音楽を詰め込みました」
別府「なのでセルフタイトルなんです」
曲作りは2人一緒に
――既発曲も収録されていますが、アルバム曲を中心にいろいろと聞かせてください。まず、“追憶のフロマージュ”はもったりとしたギターリフから始まるのが印象的ですが、どういう風にできた曲なんでしょう?
別府「(エリック・)クラプトンだったりジョージ・ハリスンだったり、往年のギタリストたちが作っていたようなロッカバラードのイメージで作り始めました。メロは二転三転して今の形に落ち着いたんですよね」
――歌謡曲感とプロコル・ハルム感が混ざったようなバランスが面白いです。
松田「別府のギターを基点にメロディは主に僕が考えました。サウンドに合うかなと思って、最初はもっと歌謡曲っぽい低音が効いた渋めのメロディにしようと思ったんですが、うまくハマらなくて、ハイトーンに合わせたらハマったという感じです。それで、別府と〈こっちだね〉って。
“追憶のフロマージュ”は別府がやりたかったサウンドから生まれましたが、曲は基本的に2人で作っています」
別府「この曲は結構ギターが主張しているので、ギタリストが作った曲っていう感じかもしれないですね」
――別府さんのギターはかなり歌っていますよね。“メルヘンを捨てないで”の終盤はギターの独壇場です。
別府「いやいや、そんなことないですよ(笑)」
――どういう風にギターフレーズのイメージを膨らませていくことが多いんでしょう?
別府「う~ん……。まずは曲に合うことを一番大事にしていますね」
松田「僕は別府がギターを弾いているのを隣で聴いていて〈今のいいじゃん!〉とか言ってます(笑)」
別府「曲を作る時はずっと2人一緒なんです」