©Teppei Kishida

〈FUJI ROCK FESTIVAL ’25〉が2025年7月25日(金)・26日(土)・27日(日)の3日間、新潟・苗場スキー場にて開催される。今年は例年とは違う発表方法、そして初来日のアーティストを多数含む充実のラインナップに大きな反響が寄せられた。

Mikiki編集部では昨年に続き、今年のフジロックを語る座談会を実施。絶対に見たい注目アクトを挙げつつ、各アーティストの近況やライブパフォーマンスについて語り合った。


 

フジロックしか揃えられない今年のヘッドライナー3組

小田淳治「早速ヘッドライナーから話していきたいんですけど、その前に今年の出演アーティストの発表方法について触れておきたいと思って。通常なら2月初頭にヘッドライナーを含む主要の洋楽アクトを出して、第2弾・第3弾あたりのラインナップで邦楽アクトと追加の洋楽アクトを発表……というようなセオリーがあったと思うんです。

それが元日の開催決定のアナウンス時点で〈今年は発表の方法にも少し変化を加える〉とコメントが発表されて、実際に少し遅い2月下旬に第1弾ラインナップが出ました。しかもヘッドライナーと洋楽アクトだけでなく、今回は強力な邦楽アクトなど一挙に60組もまとめて発表されて……流石に驚きましたね」

天野龍太郎「過去にない発表の仕方でしたからね。Xを中心にSNSでは、以前の発表方法との違い、サマソニとの対比などが語られていましたが、徐々にではなく一気に多数のアーティストが発表されたことで、今年のフジロックの全体像がいきなり目の前に現れた印象でインパクト大でした。たとえば、ちょっとマニアックなところまで攻めたアジア圏のアーティストの充実ぶりや国際性とか、邦楽ロックアクトのメジャーからインディーまでの網羅性とか、傾向がすぐに見えましたよね。

フレッド・アゲイン

ヘッドライナーについて言うと、やっぱりフレッド・アゲインとヴルフペックには驚きました。特に前者は英ロンドン出身のプロデューサー/DJですが、まずダンスミュージックのアーティストがヘッドライナーになったという点にびっくり。ただ彼は、ハウスやUKガラージを軸にしていながらも、欧米ではコロナ禍前後に超人気アーティストにのぼり詰めた人。エド・シーランやBTS、チャーリーxcx、サム・スミスなどの楽曲も手がけてきた才能なので、ポップシーンでも知られているから納得感はありますね。個人的にラッパーのヘディ・ワンとの『GANG』、パンデミック中に制作された『Actual Life (April 14 - December 17 2020)』といった作品は大好き。フランク・オーシャンのキャンセルのドタバタで急遽クロージングアクトを務め、スクリレックス&フォー・テットと最高なDJをやってくれた2023年のコーチェラでのパフォーマンスも思い出深いです。“Rumble”などのアンセムでGREEN STAGEをダンスフロアに変えてくれるのではないでしょうか!」

小田「2日目のトリを飾るヴルフペックはアメリカのファンクバンドで、今年3月にニューアルバム『Clarity Of Cal』をリリースしたばかり。まさにベストなタイミングでの初来日です。リーダーのジャック・ストラットンなど一部の固定メンバーを除いて、コリー・ウォンやジョーイ・ドーシックなど名だたる面々がゲストプレイヤーとしてツアーや作品に参加しています。ゲストプレイヤーはその都度流動的に変わるので、そういった点も毎回楽しみなバンドです。星野源がよく彼らのアルバムや楽曲をレコメンドしていたので、名前だけは知っているという方も多いかもしれませんね。

ヴルフペック

新作の『Clarity Of Cal』はライブレコーディングに近い形で制作されたようで、ポップファンクからゴスペル寄りのソウルまでアップリフティングな楽曲が満載です。予習としては『Clarity Of Cal』と、有名なマディソン・スクエア・ガーデンでのフルセット映像あたりを押さえておいてもらえれば。バンドとして2025年はフジロック含め3回しかライブをしないそうなので、間違いなく貴重なステージになるでしょうね。

そして最終日はヴァンパイア・ウィークエンドがフェスを締め括ってくれます。直近では2022年にもトリを務めてますが、機材トラブルもあって少し悔いが残るセットだったはず。とはいえ昨年リリースした最新アルバム『Only God Was Above Us』は久々にバンド感の強いエネルギッシュなアルバムだったので、その収録曲が直接ライブで聴けるのが楽しみで仕方がないです。

ヴァンパイア・ウィークエンド

しかも同じ日にハイムも出演するので、何かしらステージ上でコラボするんじゃないかなとみんな期待しています。この日はヴァンパイア・ウィークエンドとハイムをセットで見る人が多いと思うので、ステージ間の移動にも気をつけたいところですね」

天野「そうそう。今年のコーチェラでのライブではなぜかパリス・ヒルトンが登場したり、ふざけたお遊びコーナーがあったり、今のヴァンパイア・ウィークエンドのライブはゲスト参加などで見せ方を面白く工夫していて、かなり楽しいんですよね。『Father Of The Bride』でバンドが再編されてからライブで魅せるバンドに変化したので、3年前に見た方も初見の人も必見だと思いますよ!」