2024年8⽉17⽇(⼟)、18日(⽇)の2日間、東京と大阪で〈SUMMER SONIC 2024〉が開催される。国内外のビッグネームから新進気鋭のアーティストまでが一堂に集う、日本が世界に誇る都市型フェスが今年もついに幕を開ける。

サマソニ開催の前日、本日8⽉16⽇には、千葉・幕張メッセにて〈SONICMANIA〉も行われる。今年は両フェスともWOWOWオンデマンドを通じて独占配信されることも話題となっているなか、Mikiki編集部でサマソニ&ソニマニの注目アクトについて語り合った。


 

マネスキン、BMTHが満を持してヘッドライナーに

天野龍太郎「〈SUMMER SONIC 2024〉が開催間近! というわけで、フジロックの開催前におこなった企画と同じく今年の注目アクトを中心に、編集部の2人がMikiki的な観点から語り合いたいと思います。

とはいえ現在、台風7号が関東に接近中、という大変な事態になっています……。最新情報だと、本日8月15日の午後、サマソニ/ソニマニが開催される千葉が暴風域に入るおそれがあるとのこと。鉄道の運休など交通機関も混乱していますが、刻一刻と状況が変わっているので、参加者は天気アプリやウェブニュース、SNS、テレビなどで情報収集してください」

小田淳治サマソニのオフィシャルサイトXアカウントなども、定期的にチェックしたほうがいいですね。サマソニは現状、延期・中止やタイムテーブルの変更などはアナウンスされておらず、予定どおり開催されるそうですが、ステージ施工の遅れなど状況によって規模の縮小・時間の変更があるかもしれないとのこと。ソニマニもこのまま開催されるようで、安全への配慮や余裕を持った行動をするように、と呼びかけられています。

さて、フェスのラインナップに話を進めましょう。フジロック同様に出演キャンセルの話題から始まるのも複雑ですが、ピンクパンサレスとジョン・バティステは観たかったですよね。それぞれでキャンセルの理由は違いますが、2組とも現行の音楽シーンを語るうえで必要不可欠なアーティストですから」

天野「ジョン・バティステは去年も来日していたとはいえ、ジャズとポップを股にかける存在として日本でもおなじみですし、ライブの評判もよく聞くので、観たい方も多かったでしょうから残念ですね。

さらにピンクパンサレスは、初来日公演になる予定だったので本当に残念でなりません。“Break It Off”のTikTokバズからわずか3年でポップシーンの台風の目になった才能による、貴重な初お披露目になるはずでした。タワーレコード渋谷店でのサイン会も控えていましたし、またいつか日本に来てほしいところ。

といっても、最近はアーティストの心身の健康問題がよく取り沙汰されますし、無理なく長く活動してもらうためにも、彼女やチームの判断は尊重したいです。デビューアルバム『Heaven knows』を聴き、bounceの特集記事を読んでもらって、次の来日の機会が来ることを祈りましょう!」

小田「ただ、そうしたネガティブな気分を吹き飛ばすアクトが今年のサマソニには沢山います! まずは、なんといってもマネスキンですよ。個人的に彼らをヘッドライナーに据えたのは大英断だと思います。イタリア発のロックバンドがトリを飾るのは初ですし、初来日も2022年のサマソニでしたからね。この間にも3rdアルバム『Rush!』のリリース、同作を引っ提げた日本でのアリーナツアーと驚異的なスピードでファンを獲得していたので、納得の人選です」

天野「念のため説明しておくと、マネスキンはローマで2016年に結成された4人組です。2017年、オーディション番組『Xファクター』のイタリア版に出演して話題になり、2021年にユーロビジョン・ソング・コンテストで“Zitti e buoni”を披露してブレイク。精力的すぎるツアーで各地を回り、世界的トップバンドにのぼり詰めました。2017年に発表した“Beggin’”(フランキー・ヴァリ&ザ・フォー・シーズンズのカバー)が2021年にバイラルヒットするなど、色々と話題やフックが多いバンドですよね。

そんな彼らが日本でも人気なのは、ボーカリストのダミアーノ・ダヴィドやベーシストのヴィクトリア・デ・アンジェリスを筆頭にした4人の強烈なカリスマ性や熱いパフォーマンスが理由でしょう。クラシックロックやレッド・ホット・チリ・ペッパーズ、アークティック・モンキーズなどから影響を受けた、懐かしさと新鮮さが混在するグルーヴィなロックサウンドも、日本のリスナーに馴染みやすいものです」

小田「7月末には去年の日本公演の模様を収めたライブ盤『LIVE IN JAPAN - RUSH! WORLD TOUR』も発売されました。しかも日本限定、CDオンリーでのリリースとあって、マネスキンチームの日本愛を感じますよね。ラウドで官能的な魅せるパフォーマンスを日が沈んだZOZOマリンスタジアムで味わえるのは、本当に贅沢ですよ」

天野「マネスキンのライブ盤は、海外のファンの間でも話題になっていたそうですね。続いて、もう一組のヘッドライナーであるブリング・ミー・ザ・ホライズンについて。改めて紹介すると、英シェフィールド出身、2004年の結成から20周年という節目を迎えるバンドです。メタルコア/デスコア的な音楽性からスタートして進化とポップ化を推し進め、2013年の4作目『Sempiternal』でブレイク。2019年作『amo』、BABYMETALらと共演した2020年作『POST HUMAN: SURVIVAL HORROR』などの近作は、日本でもよく知られていますよね」

小田「5月に発表した『POST HUMAN: NeX GEn』は、さらに拡大した音楽性と仕掛けだらけの作り込みが話題です。2023年12月にサウンド面の要だった鍵盤奏者のジョーダン・フィッシュが脱退したことでバンドは新章に突入、その点でも今回のライブは見ものですね」

天野「ジョーダンが抜ける直前の11月、BMTHは自身がキュレートしたフェス〈NEX_FEST 2023〉を開催し、好評を博しました。その時に観たよ!という方もいるかもしれませんが、新作モードのパフォーマンスはまた違うものになっているはず。色々な意味で必見です!」

小田「現行のロックシーンの先頭をひた走る2組がヘッドライナーに君臨する一方、クリスティーナ・アギレラの存在もデカいですよね。来日ライブは2007年以来、約17年ぶりだそうです。世界中でメガヒットした1999年のデビューアルバム『Christina Aguilera』のリリースから今年でちょうど25年と、絶好のタイミングで来てくれるのも嬉しいですね。

2022年の最新アルバム『Aguilera』は全編スペイン語で歌われていて、トレンドの1つであるラテンミュージックをアギレラ流のポップネスに昇華した力作でした。彼女のソロワークも好きですが、マーティン・スコセッシが監督を務めた映画『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』での“Live With Me”のパフォーマンスは、いま見返しても胸熱です。近年はキャリアを網羅したレジデンシー公演をラスベガスで開催していたりと、ベテランの域に達した生身のパフォーマンスは見逃し厳禁です」