〈かわいい〉と〈かっこいい〉を兼ね備えた8人
2024年3月6日、8TURNが記念すべき日本でのデビュー単独公演〈8TURN 1st Fan Concert in Japan “TURN TABLE”〉をおこなった。彼らを初めて生で、この目で見た印象を一言で言い表すなら、〈かわいい〉と〈かっこいい〉を両方100%フルで兼ね備えた8人、だろうか。ボーイズグループがクールでバチッと決まっているのは当たり前。彼らはそれに加えて、ちょっぴり緩い独自のキュートさを持ち合わせていて、たっぷり振りまいていた。
この日の東京・渋谷Spotify O-EASTは、記念すべきデビュー日を祝うために多数のファンが駆けつけた、プレミアムなイベントになった。 入場時には〈8TURN日本デビューおめでとう!〉と大きく印刷されたスローガンが一人一人に配られたが、メンバーを驚かせるために、あるタイミングまでその紙を広げないように、と注意書きが裏面にされている。8TURNのライブはオーディエンスも一緒になって作り上げるものなのだと、始まる前から予感させた。
キレのあるダンスと際立つ個性
開演時間になるのと同時に、エチケットガイド映像がステージの背後に大写しになる。マナーや注意事項などをTURNING(8TURNのファンネーム)に伝える動画だが、上から目線で押し付ける高圧的なものではまったくないのは、8人のユーモラスで自然体な所作の映像と組み合わさっているから。客席からは、「ふふふ」「あはは」と笑い声が湧き上がった。
動画の上映が終わって、ついに壇上に現れた8人。さっと一瞬で登場したのと同時に、「キャー!!!」という叫びに近い歓声がメンバーを迎え入れる。間髪入れずに披露されたのは“EXCEL”。近未来的で疾走感のある映像をバックに、8人はキレのあるダンスによって重いギターサウンドとエッジの効いたヒップホップビートを乗りこなしていく(スピーカーから鳴るベース音の大きさに圧倒された)。
挨拶代わりの一曲を終え、8人は横並びになり、「ありがとうございます!」と一言。日本のTURNINGにようやく会えたことを噛みしめるように、しばらく客席を嬉しそうに見渡し、手を振っていたのが印象的だ。そして「こんばんはー! 僕たちは8TURNです!!」と日本語で語りながらお辞儀。「〈TURN TABLE〉にようこそ!」「いらっしゃいませ!」と言ってから、1人ずつ自己紹介と挨拶をしていく。驚いたのは、「やべー!」「うそ~?」といったツッコミや合いの手もすべて日本語だったこと。「かっこいいクマ、リーダーのジェユンです」「8TURNの笑顔の天使、かわちいミノで~す!」など、バラバラな個性が早くも際立つ。
思い思いのスタイリングと揺れるネクタイ
最初の挨拶を終えて、2曲目へいく前に「準備はいいですか?」と問いかけると、TURNINGが歓声で返す。もう一度同じ質問をし、倍以上大きな返事が返されたところで“WONDER”へ。曲が始まるまでの数秒間、TURNINGが推しの名前を口々に叫んでいたのも忘れがたい。“WONDER”はゆったりとしたテンポだが、インダストリアルな金属音などがヘビーで挑戦的なヒップホップナンバーだった。
8人は高校の制服に似たブレザーの衣装を着ていたのだが、ダンスを見ながら気づいたのは、ネクタイがダンスに合わせて揺れるのがセクシーなこと。また、8TURNのプロフィール文に〈型にはまらないスタイリング〉というフレーズがあるように、それぞれの着こなしがおもしろい。ブレザーの中にパーカーを着ていたりネクタイを緩めにしていたりと、思い思いのスタイリングだ。ベースの衣装は同じで、髪を染めて金髪になったのもおそろいだが、それでも個性がはみ出していく。
続けて“SKETCH”を披露。大人数だからこその立体的かつ個性的なフォーメーションが、8TURNのダンスでは魅力の一つになっている。それは特に、メンバーがぎゅっとひとまとまりになった時や、立ち位置が前後左右へめまぐるしく入れ替わる場面などで顕著だった。3人+5人のようないくつかのチームへ瞬時に分かれたり、1人だけが別の場所に離れたり、ステージを広く縦横無尽に扱っていく様も圧倒的。