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現在におけるCDの魅力とは

かく言う私もCDは毎日のように買っております。最近だとラテンジャズのレーベル、アメリカン・クラーヴェの日本盤や、ストリーミングで配信される気配のない2000年代のリミックス/コンピレーションアルバムなどをメルカリやヤフオク!でこつこつと買い、あるいはバンドのライブに行けば物販ではレコードやカセットよりもまずはCDを買っております。レコードほどじゃないにせよ、ライブ前に買うとややかさばるのが難点ですが(インディーバンドにおけるカセットリリースのブームは、この点も重要だったようです。カセットなら物販で買ってポケットにそのまま仕舞えますからね)。

そして先日、ふと思い立ち、中高生の頃ぶりに、CDプレイヤーというものを買いました。km5の〈飾れるCDプレイヤー〉ことInstant Disk Audio-CP2、クールなデザインで歌詞カードがそのままディスプレイに飾れるという代物ですが、これでCDを聴くのがめちゃくちゃ気持ちいい。考えてみればここ数年、家で音楽を聴く時といえばパソコンかスマホを介していた訳ですが、音楽を聴きながらもこれらのデバイスと相対する限り、返さないといけないメールやタスクのことが常に無意識に上っていたんですね。それが、プレイヤーとして独立した環境で音楽を聴くと、非常にいい意味でぼんやりと音楽を聴くことが出来る。レコードよりも手軽に、ストリーミングよりも孤独に、音楽を楽しむ。2024年におけるCDの魅力とはまずこれではないでしょうか?

という訳でこの連載は私が〈CD再生委員会〉会長として、ミュージシャン、DJ、コレクター、バイヤー、デザイナー、バーテンダー、サラリーマン、漫画家etc.の皆さまと共に、CDという古くて新しいメディアの過去と未来を存分に語り合い、来たるべき大CDルネッサンス時代を先取りしようというものです! 初めて買ったあのCD、借りパクされたあのCD、どうしても処分できないあのCD……永遠に記録が劣化しないと言われたメディアと、それについての我々の記憶もまた、永遠に……! 光り輝く円盤が、今、再び回り始める! カミング・すぐ!

 


■参考記事
https://pitchfork.com/thepitch/is-the-cd-revival-an-actual-thing/
https://www.lifestyleasia.com/hk/whats-on/cd-sales-rising-vinyl-music-y2k-2000-news-info/
https://www.washingtonpost.com/entertainment/2023/08/19/gen-z-collectors-love-the-cd/
https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?lang=j&Seq_Code=87159
https://www.riaa.com/wp-content/uploads/2023/09/RIAA-Mid-Year-2023-Revenue-Report.pdf

 


PROFILE: Kotetsu Shoichiro

ミュージシャン(トラックメイカー/DJ)。90年生まれ、香川県出身。ダンスミュージック全般を手がけ、ラッパーやゲーム音楽、CMなどに楽曲提供の実績多数。2021年にはラッパー・T-STONEへの提供曲“Let’s Get Eat”がBillboard JAPANのTikTok Weekly Top 20で1位を獲得。また2022年にはtofubeatsのアルバム『REFLECTION』収録の“Vibration feat. Kotetsu Shoichiro”へラップで客演し話題を呼んだ。ライター/インタビュアーとしてはミュージック・マガジン、Quick Japan、CINRA、関西ソーカルなど数々の媒体に寄稿。ほか、さとうもか“Lukewarm”“Loop”をはじめ他アーティストのMVなど映像/アニメーションの編集も手がけるなどジャンル/形式に囚われない幅広いスタイルで活動をおこなっている。
オフィシャルサイト:https://kotetsu-shoichiro.com/
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