吉川晃司と布袋寅泰による伝説的ユニット、COMPLEXが帰ってくる! 2024年1月1日に日本を襲った令和6年能登半島地震を受けて、2人がチャリティライブ〈日本一心〉を5月15日(水)、16日(木)に東京ドームで敢行するのだ。ニュース自体かなり大きな話題になったが、ここで改めて〈COMPLEXとは?〉ということを振り返っておきたい。布袋寅泰への取材を度々おこなっている、ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)にユニットの歩みや魅力を解説してもらった。 *Mikiki編集部


 

21世紀のスタイルを先取りした伝説的2人

COMPLEXの登場は衝撃だった。1989年〜1990年、たった2年間という濃密な期間による活動ながら、日本のロックシーンにロックとデジタルの融合、いわゆる21世紀のスタイルを先だって提示した伝説的2人組ユニットだ。

何よりその音楽性の高さを再発見してほしい。

キーワードは芸術性と大衆性、アナログとデジタルの複合。メッセージと音が研ぎ澄まされ、究極なまでにクリアなのだ。そして、これらの作品は2024年現在も一切古びることはない。

独自のボーカルスタイルを完成させたボーカリスト吉川晃司と、バンドBOØWY解散後、革新的ソロアルバム『GUITARHYTHM』(1988年10月5日)をリリースし新たなサウンドを確立したギタリスト布袋寅泰の2人。

布袋寅泰 『GUITARHYTHM』 東芝EMI/イーストワールド(1988)

吉川と布袋は、80年代半ばに友人となり、お互いの作品に行き来していた仲だった。

公式にはクレジットされていないが、BOØWYの4thアルバム『JUST A HERO』(1986年3月1日)収録“1994 -LABEL OF COMPLEX-”では、吉川がBOØWYの氷室京介とともにデュエットしている。ファンキーかつフューチャリスティックな布袋による先鋭的なサウンドとともに耳を澄まして聴いてほしい。

BOØWY 『JUST A HERO』 東芝EMI/イーストワールド(1986)

 

音楽のデジタル化 × パンクのアティチュード

COMPLEXというユニット名の由来は、COMPLEX=融合、複合。諸説あるが、実は、BOØWY以前、布袋が高校生の頃に思いついたバンドネーミングだったという。

COMPLEX登場以降、世の中のサウンドは一変した。誤解を恐れずに言えば、レコーディングスタイルのデジタルロック化だ。もちろん、コアな洋楽フリークだった2人が持つ70年代以降のパンクロック/ニューウェイヴなどのアティチュードも作品では発揮されている。

精神的支柱となったナンバーは1stアルバム『COMPLEX』(1989年4月26日)収録、ギターリフがヘヴィな2曲目“CRASH COMPLEXION”だったのではないだろうか。2024年現在から顧みてみても、ユニットのコンセプトを体現したナンバーなのである。

COMPLEX 『COMPLEX』 東芝EMI/イーストワールド(1989)

さらに、ミディアムテンポのヘヴィグルーヴを奏でる“Can’t Stop The Silence”、思わず駆け出したくなるアッパーなロックチューン“RAMBLING MAN”、キラキラ輝くサウンドがポップな“恋をとめないで”、吉川作詞作曲によるアルバムの1曲目“PRETTY DOLL”など名曲ばかり。