到底1965年の音とは思えない鮮烈なサウンド。卓越を極めた米国のヴィルトゥオーゾ、アール・ワイルドの超逸品というべき、輝けるラフマニノフ。ホーレンシュタインのまさに〈ラフマニノフ的〉な、ロマンティシズムを濃厚に炸裂させる管弦楽と見事に合致したワイルドの鉄壁のタッチはまさに圧巻。大見えを切り合う千両役者の競演だ。第2番冒頭で相打つ巨大スケール! 第3番第1楽章のカデンツァはオリジナルを一気に加速して弾きまくる。“パガニーニ狂詩曲”の有名な第18変奏も流麗の極み。Obsessionの新マスタリングと従来盤との音質的差異を探求するのも実に興味深い。SACD層もぜひお試しいただけたら!