いつまでも聴いていたい、そんな気分になる音楽は誰にもあるだろうし、あってほしいと思う。そんな音楽といつ出会うのか、どんな風に出会うのかは人ぞれぞれ。だけど年をとればとるほど、レコードの溝同様にそんな気持ちは摩耗し、あれほど身近に感じていた音楽はいつのまにか、記憶にかかった霧の向こう側。1970年代にカーペンターズの音楽がかつて多くの人たちにとってそんな存在であったことは想像に難くない。カレンの声といくつかのオリジナルトラックを聴きながら、兄のリチャードがオーケストラとリメイクしたというこの新譜がふたたび、音楽への愛情を灯すきっかけになりますように!

 


往年のスターとロイヤル・フィルとの疑似コラボが注目を集めているが、リチャード・カーペンター自身が全編の編曲と指揮を執った本作は、それらの企画盤とは一線を画している。ストリングスとの相性を考慮した選曲や、カレンの歌声の魅力を最大限に活かしたリアレンジに加え、オリジナル録音時の不満点を最新技術によって修復するなど、徹底した職人的こだわりから生まれた珠玉の〈ニュー・アルバム〉だ。