フィニアスやジェイコブ・コリアーらが参加した2作目『Five Seconds Flat』で新たな表現領域へと漕ぎ出したフィラデルフィア近郊出身のシンガー・ソングライターがメジャー・デビュー。一聴して気づくのは、楽曲本来の骨格が鮮明に浮かび上がるトラックの多さだ。トニー・バークほか複数のプロデューサーが関与しているが、いずれも彼女の体温に即した音作りに専心していて、かすかに憂いが滲む呟き声と浮遊感を湛えたヴォーカル・ハーモニーがより魅惑の響きを獲得する結果に。質素ながら深い趣を感じさせる、あまりに強力な3作目。深く沈むようなピアノの音色に彩られた表題曲の美しさと言ったら。