トランペット奏者の田村夏樹とドラマーのジム・ブラックのデュオ〈NatJim〉。ジムにもう一人ドラマーを加えた『White & Blue』も編成はデュオだった。長年のパートナーであるピアニスト、作曲家の藤井郷子が本作に寄せたライナーによれば田村はデュオでの演奏を好む傾向があるそうだ。人と向き合うような対話型の演奏が性に合っているのだろうか。だから彼の音はダイレクトに聴き手の耳にも届くのだろう。歌心とは少し違う。アイデアをシンプルに、直観的に音にする遊び心が溢れる。曲は都市をテーマにペアになっている。朝と午後、静と騒の都市という風に。情景が設定されアイデアの交換がシーンを動かして二人の現在が浮かぶ。