タビーはジョイントじゃなくて、裏の小屋で「トランスを巻いて」いた。やっと詳らかにされたタビーの全生涯。著者はフランスのレゲエ専門誌の元編集長。フランス語原著と著者による英語版の2つを精選、更に補完更新して作られた最もリッチな日本語エデイションと言える。タビーがダブの始祖(〈roots〉)だということには誰も疑わない。が、実は他の有名エンジニアに比べるとまとまった文献や写真などが著しく乏しいところに漸く正式な伝記が提示されたのだ。他の本の中での関係者の重要発言や音源の分析の断片の数々を広げて本書を真ん中に添えると、やっと全貌の地図が出来上がった、そんな感慨があるのだ。