ビヨンセ『COWBOY CARTER』への参加で名が広まったヴァージニア出身シンガー・ソングライターの初作。米音楽界におけるカントリー/アメリカーナの潮流が高まるなかで注目され、先行カット“A Bar Song (Tipsy)”は全米1位を獲得済み。同曲はラッパーのJクウォンによるヒット“Tipsy”(2004年)を引用したものだが、アルバムは殊更にブラック・ルーツを表すものではない。ノア・サイラスと共演した“My Fault”を筆頭にあくまでもカントリーに基づいたエモーショナルな歌世界を展開し、塩辛い滋味ヴォーカルを堪能させる。ビヨンセが拓いた舞台に颯爽と現れてポップ音楽の更新を進める、2024年の重要作。