玉置浩二の楽曲を中心に、それぞれの〈すれ違いの愛〉をスペシャルなアレンジで!
青田典子の新しいカヴァー・アルバム『Noriko’s selection -Passing love-』。〈すれ違いの愛情〉すなわち、せつなさや儚さを含んだ〈Love〉に寄せて、その歌声、歌心の魅力を放つ。
「両想いってなかなか叶わないじゃないですか。 だからこそ歌が生まれる、歌のテーマになりやすいんだと思うんです。私自身、悲しい人生は嫌だけど、悲しい歌は好きで。聴いていると、過去の痛みみたいなものが癒されて……」
すれ違ったまま交わり合うことない想い、過ぎ去ってしまった恋──痛みを癒やしてくれる名曲群には、いまや世代を越えたスタンダードとなった竹内まりや“PLASTIC LOVE”をはじめ、松田聖子“ボーイの季節”、オフコース“秋の気配”……。
「好きでよく聴いていた曲でも、歌ってみたら自分でも予想がつかなかった変化が出るんです。“秋の気配”はLPに何度針を落としたかっていうぐらい好きで、これはハードルが高いかなって思っていたんですけど、ライヴで歌った時に、オフコース世代ではない若い方が〈すごくいい曲ですね、この詞の意味はどういうことですか〉ってすごく興味をもってくださって。私の歌で知る機会になったり、小田和正さんが歌ったものとは違った魅力を出せたかな、っていううれしさがありますね」
これまでの2作のカヴァー盤同様、パートナーである玉置浩二の作品も。「昔から好きだったけど、これも玉置浩二の曲だったんだ!」と驚いた小林麻美“哀しみのスパイ”、石川ひとみ“恋”や、香西かおり“すき”、玉置浩二“メロディー”などの6曲。
「“メロディー”は玉置浩二の鉄板の曲ですけど、この曲をカヴァーされる方が多い意味もわかりました。歌唱すると入ってくるものがあるというか。歌ったことで、よりこの曲のよさ、深さを教えてもらうことができたので、ちょっと頑張って自分でピアノも弾いてみたんです」
曲に導かれて出てきた声を意外性も含めて楽しんでいる様子は、歌い手としての健やかさを感じずにはいられないポイントであり、彼女のカヴァー作品のいちばんの聴きどころ。
「やはり彼の喉や体調を守ることも生活の中心にはあるので、一緒に生活していれば自然と自分も同じようにケアされているんだろうなって思います。作業のなかではいつも発見がありますし、自分から出た声、自分の声を聴いてくださる方がいるっていうのは、歌い手として何にも変えられない喜びですね」