絶対にありえないことが起きてしまった。まさに題名通りの36年ぶりの新作。エディ・リーダーの歌声はだいぶ嗄れてしまったけれど、ウクレレでゴキゲンにスウィングする“Learning To Swim”やホーンの軽やかな響きに彩られた“Sun And Moon”など随所で垣間見えるチャーミングな表情はあの日のままだし、ルーツであるスコティッシュのエッセンスが滲む曲はコクのある味わいを醸している。どの場面にもこのメンバーにしか出しえない特別な空気感が立ち昇っていること、〈瑞々しく枯れる〉という芸当を易々とやってのけていることなど、どう考えてもこれは奇跡の一枚という他ないのである。