私はラジオで聴いたマタイのコラール1曲を聴いて気に入り、手頃価格の解説対訳付きCDを購入。しかし解説を読み対訳を追って聴いても情景がわからなかった。これが本書では一変。矢澤氏はキリスト教の思想を〈愛〉と〈赦し〉とし、これを識字率が低かった当時の人々へ伝える作品としてこれを解説。①福音史家のレチタティーヴォ②コラール③ピカンダーの自由詩によるレチタティーヴォとアリアの三層構造を明らかにして、楽曲解説に入る、いわゆる〈森〉から〈木〉への解説が理解を大変よくし、各楽器やニ群オーケストラ・合唱の役割までも知ることができた。