〈クラシックをより身近に〉をコンセプトにYouTuberとしても活動しているピアニスト、石井琢磨のメジャー3枚目のアルバム。タイトルにもあるように〈多様性〉に満ちた今作では、自身初の編曲作品となった“花のワルツ”や、横内日菜子氏とともに編曲した“ジュピター”が際立つ。全13曲の中で私は、菊池亮太氏との連弾の“リベルタンゴ”を推したい。妖艶でありながらも、どこか哀愁をも漂わせる1分間の序奏を経て放たれる情熱的な“リベルタンゴ”は、聴く者を虜にするだろう。今作のレコーディングでは、活動拠点であるウィーンの〈ベーゼンドルファー〉を使用したことも、また趣がある。