広島出身でモントリオールを拠点とする日系カナダ人シンガーソングライター、ジョナ・ヤノが『Jonah Yano & The Heavy Loop』をリリースした。R&Bやヒップホップの要素を散りばめたフォーク的なサウンドがパンデミック下の生活にスッと沁み入った1stアルバム『souvenir』(2020年)、トロントのジャズバンド、バッドバッドノットグッドが演奏で全面的に参加した2ndアルバム『portrait of a dog』(2023年)に続く3作目のアルバムだ。

本作はクレイロの参加や、〈永劫回帰〉と題された30分にも及ぶ“The Heavy Loop”など、語るべきポイントは多くあるのだが、まだ日本語での情報が少ないため、まずは彼の生い立ちや過去作について尋ねてみることにした。結果的に、個人的な感情を音楽として表現する背景、オルタナティブな才能を多く輩出してきたカナダの音楽シーン、日本人としてのアイデンティティなど、様々なトピックについての充実したインタビューとなった。

2025年1月にはビルボードライブ大阪・東京で来日公演も予定されている。ライブに行く人もそうでない人も、この素晴らしいアルバムにぜひ耳を傾けてほしい。

JONAH YANO 『Jonah Yano & The Heavy Loop』 Innovative Leisure(2024)

 

広島で生まれ、カナダへ移住

――広島に4歳まで住んでいたとのことですが、どのあたりですか?

「東広島の駅の近くに住んでいて、両親はともに市内で働いていたよ」

――その後、バンクーバーに移住し、トロントを経て現在はモントリオールで活動中ということで合っていますか?

「そうそう、ゆっくり東の方に移住していったような感じだね」

――2016年にトロントに移住を決めたのはどうしてですか?

「家の都合とかではなく、自分で決めて移住したよ。18歳くらいのときに、当時住んでいたバンクーバーからトロント、モントリオール、ニューヨークへ行く旅をしたことがあった。特にトロントでは良い出会いもいっぱいあって印象的だったから移住したいと思うようになったんだ」

――なぜ旅をしようと思ったのでしょうか?

「友達がそれぞれの街にいたからどんな街なのか知りたかったんだ。僕が住んでいたバンクーバーはおとなしい街で、音楽とかパーティみたいな華やかなことに興味を持つとちょっと物足りないところがあるから、大都会を見てみたかった。あと、その頃はスケボーに夢中になっていたから、それぞれの街でスケボーに乗ってみたかったのもあるね」