1999年生まれ。文筆家としての顔も持つokkaaaの、約2年10カ月ぶりの新作でセカンドアルバム『汽笛モノローグ』には、2022年から発表してきたシングル5曲に新曲8曲にリテイク1曲を加えた全14曲が収められている。エレクトロやアブストラクトの要素が色濃いトラックの随所にポエトリーなラップが乗る本作。アコースティックヒップホップ的なサウンドのタイトル曲では、世知辛い世相が綴られる中で誰かのSOSに呼応し、確信めいた何かに出会う物語が描かれており、SNSでの悲劇やロシアによるウクライナ侵攻といった多くの問題を抱える社会と個の繋がりをテーマにした本作を象徴している。そんな力作『汽笛モノローグ』を作り上げたokkaaaにインタビューした。

okkaaa 『汽笛モノローグ』 okkaaa/VMG(2024)

 

もっと社会と繋がるためにはどうしたらいいか

――セカンドアルバム『汽笛モノローグ』はコンセプトがはっきりしている作品ですが、どういう風にイメージが固まっていったんですか?

「おっしゃる通り、今回は自分の音楽性を深化させるために標識やステートメントをしっかり立てたいと思いました。そう思う前は、自分の日常に起こるムービング(感動的)なものをそのまま音とメロディーとトラックに同化させていく、“愛のデタッチメント”や”ホットワイン”のようなものに手ごたえを感じていたんですが、その方向を突き詰めていくと個人的な作品になってしまうなと思って。もっと社会と繋がるためにはどうしたらいいかを考えていく中でコンセプトが浮かび上がってきたんです」

――その流れでタイトル曲の“汽笛モノローグ”ができていったんでしょうか?

「そうですね。SNSで発信し辛い時代になってきていて、例えばある投稿が自分としてはラブコールだったとしても、結果的に相手を傷つけてしまって悲惨な出来事が起きてしまうことが増えていることも考えるきっかけのひとつでした。そんな今の自分がどう社会と繋がり合えるだろうかと。

自分が社会人になったこともあって、〈自分の表現したいことをやりきれてるのかな〉と思っていたところもあり、その揺れ動きも自分の社会に対する繋がりの揺れ動きとも重なって、改めて社会的な問題への自意識はどこからやってくるのかをしっかり考えるようになりました。

例えば、痛ましいニュースを見てる瞬間に、それに何かしら応えようとする使命感に突き動かされることは多々あるんだけど、どう発信していいかわからなくなってしまう。でも、この答えのない内省みたいなものを大切にしていこうと思って〈モノローグ〉というテーマが浮かび上がってきました。

悲しい物語やニュースは傍から見たらサイレンのように感じるかもしれないけど、社会的なものと繋がるという視点で見た時に自分を進めるための汽笛のようなものであってほしい。そういう願いを込めてステートメントを立てました。そういう気持ちの人は他にもいるんじゃないかと思ったんです」