こんにちは、TOWER DOORSスタッフです。今週も先週紹介した楽曲を振り返っていきましょう。
と、その前に、先週紹介したNew Biboujinの自主企画〈80dB Party〉に行ってまいりましたので、そのことについて語らせてください!
東京でのライヴは初めてとのことで注目度が高ったのか、会場はお客さんでパンパンでした。それだけでなく、メンバー・森鉄人さん(トラックメイカー/ビートメイカー)の機材の多さにも驚かされました。まるで〈ハウルの動く城〉のように機材を積み上げた要塞のようなセットで、そのヴィジュアルは迫力満点。
もちろん、見た目だけではありません。ライヴが始まると、その凄まじい迫力と圧倒的なパフォーマンスに胸を打たれました。水野翔太さん(ギター/ヴォーカル)のソウルフルで甘美な歌声、川井宏和さん(ベース)による勢いに満ちた、だけどグルーヴィーな低音、そして森さんの荘厳なエレクトリック・サウンドという三者三様のオリジナルな音がブレンドされ、〈New Biboujinというサウンド〉を形作っていました。
まさに、いま必見のアーティストと言っていいと思います。ただ、次のライヴはまだ決まっていないとのことですので、もし次のライヴがあれば、なにがなんでも駆けつけましょう!
80dB Partyに参加してくれた皆さん、
— New Biboujin (@newbiboujin) December 2, 2019
本当にありがとうございました。
今後多方面で創作を共に出来ることを楽しみにしています。今は喜ばしい予感でただただ一杯です。
見つけてくれてありがとう。
2020年またお会いしましょう。#80dBParty pic.twitter.com/nNhMsfzmKN
前置きが長くなってしましましたが、11月の4週目に紹介した4組のアーティストの楽曲をプレイバックしていきましょう。
CHAILD “Locked up”
先週の1曲目は東京を拠点に活動する6人組バンド、CHAILDの“Locked up”。この曲は結成当初の2017年にリリースしたEP『Locked up』に収録されています。
R&Bやジャズ、オルタナティヴ・ロック、メタルなどを組み合わせた彼らのサウンドは〈カオス〉寸前。けれども、そうした多様な音楽要素を独自の美学でまとめ上げています。〈静と動〉を使い分けた“Locked up”は8分超の長尺曲ですが、最後まで通して聴いて初めてCHAILDというバンドの真価がわかります。
現在日本のインディー・シーンでは、さまざまなジャンルの要素を取り入れて、それらを上手く消化しているバンドが多いように感じます。例えば、TOWER DOORSが紹介したバンドではWOMANやgatoなど。彼らが頭角を現していることから、数年前にThe fin.やD.A.N.、yahyelらが登場してきたときのことを思い出します。そういったバンドを初めて聴いたときと同様、CHAILDの曲を聴いたときもそのオリジナリティーには面食らいました。上で挙げたバンドと並んで、今後の活動から目が離せない新人です。
The mellows “Plastic Time“
大阪を拠点に活動する5人組、The mellows。彼らが2019年3月にリリースしたセカンドEP『Take me out of this world』から、“Plastic Time”を紹介しました。The mellowsの魅力は、Vaporwave的感覚で80年代歌謡曲風のポップスを演奏しているような独創的なサウンドです。その音楽性は、Ariel PinkやMac DeMarco以降の米西海岸インディー・ロックに対する日本からの回答だとも感じます。
例えば僕が最近注目しているのは、Bane’s WorldやTriathalon、The Mariasといった、チルなベッドルーム感覚を持ったミュージシャンたち。そういった海外の現行アーティストのサウンドとも共鳴しつつ、髙いクォリティーの音楽をThe mellowsは奏でています。
そんな彼らには、メール・インタヴュー〈6つの質問〉に答えてもらいました。影響を受けたアーティストとして、George Clantonの別名義でVaporwaveを代表するESPRIT 空想を挙げているなど、彼らの色が見えてくる内容になっていますので、ぜひご覧ください。
大阪府周辺で活動を行っているThe mellowsですが、先週11月28日に下北沢THREEのイヴェントへ出演したので、遊びに行きました。VJによるVaporwave風の映像がバンドの背景に映されていた彼らのライヴは、独自の世界観にオーディエンスが浸れるパフォーマンスでした。評判通りの緻密な音作りと演奏は、圧巻の一言。彼らのことが気になる方は、ぜひ一度ライヴに足を運ぶことをおすすめします。
Vaporwaveつながりでは、以前TOWER DOORSが紹介したCity Your City & Frasco”Micro Summer”もおすすめです。Vaporwaveの要素が歌詞やサウンドに散りばめられています。
GACA “Sun goes dawn [sic] “
3曲目は、ストーレートでエモーショナルなロック・ソング“Sun goes dawn [sic]”。東京で活動する4人組バンド、GACAが今年10月にリリースしたファーストEP『TOWN』に収録されいます。シンプルに心に響く歌詞と、力強くも美しく繊細なメロディーで聴き手を魅了する一曲です。
彼女たちのEP『TOWN』は、〈人類が滅亡した街。 魂は、どこへゆくのか〉ということをテーマ制作されているとか。そのテーマに沿ってメンバーが自主で撮った短編映画も同時に公開されており、そこにはアルバム全曲のミュージック・ビデオも含まれています。楽曲に込められた思いなどが表現されており、GACAの魅力をさらに堪能できる映像作品になっているので、ぜひ併せてチェックしてみてください。
LULU “LIQUID (feat. okkaaa)”
先週最後に紹介した曲は、19歳の若きトラックメイカーのLULUとマルチ・アーティストのokkaaaという、同世代アーティストのコラボ・ソング”LIQUID”です。
まず耳を引くのは、LULUが作り出した実験的なビートと 抽象的でアンビエント風なシンセサイザーが折り重なったトラック。okkaaaのウィスパー・ヴォイスや囁きによる独特のフロウがそれに呼応し、トラックに溶け込むことで、エクスペリメンタルな楽曲に仕上がっています。
なおLULUは、ラッパーのFANGとのクラウド・ラップ・グループ〈LULU&FANG〉でも活躍していました。10月には、そのFANGと韓国のインディー・アーティストであるUZAをフィーチャーしたシングル”LA LUNA”でソロ・デビュー。KaytranadaやMura Masaから影響を受けたという彼は、今後期待のアーティストです。
先週も、それぞれシーンで頭角を現しているアーティストたちの楽曲を4曲紹介しました。今週もオリジナリティー溢れるアーティストの楽曲を紹介していますので、次のプレイバック記事もお見逃しなく!