カーボ・ヴェルデ出身、ブラジル音楽の影響を受けた歌唱力抜群の歌姫の最新盤がお見事!

 ハリのある豊かな響きの歌声を耳にした時に〈ブラジルの新人女性歌手かしらん?〉と思った。歌詞がポルトガル語だし、その楽曲がサンバをベースに作られているように聴こえたからだ。しかも歌い回しがガル・コスタやクララ・ヌネスに近いニュアンスも感じられる。Lucibelaというその名前で検索するとカーボ・ヴェルデの出身と答えが返ってきた。これが3枚目の作品だという。

LUCIBELA 『Moda Antiga』 Lusafrica(2024)

 カーボ・ヴェルデは西アフリカのセネガルの沖合に浮かぶ小さな島国で、大航海時代の後に始まった奴隷貿易に使われた大西洋上の中継地のひとつ。アフリカ大陸からこの島を経由してカリブ海や中米、南米へとアフリカ生まれの人たちが送り出された。その島国は現在はざっと56万人ほどの人口を持つらしいが、それは自分が住む東京23区の杉並区より少し多いくらいの規模である。ネットを通じて本人へ短いインタヴューをしてみたら、現在ルシベラは祖国を離れて旧宗主国であるポルトガルの首都、リスボンにもう9年間も住んでいるそうだ。

 カーボ・ヴェルデといえばセザリア・エヴォラの独特な声が蘇ってくる人も少なくないだろう。ルシベラはそのセザリアと共演して来たベテラン演奏家たちの手堅いサポートもあって、音楽活動を続けている。「ブラジル音楽の影響を強く受けているし、サンパウロへはセザリアの追悼コンサートに出演するために一度行ったのよ!」と。そして「ブラジルの女性歌手ではアルシオーネが好きかな。男性歌手ではジャヴァンね!」。

 確かにルシベラの歌の持つ明るい雰囲気はアルシオーネに似ているし安定した歌唱力は彼女の魅力だ。カーボ・ヴェルデ特有の音楽要素はもちろんのこと、ポルトガルのファドや典型的なボレロ、さらにブラジルのサンバやアフォシェ、ショッチなども含まれているが、ルシベラの個性に滑らかに溶け合っている。特にこの3枚目は完成度が高い。