カーボ・ヴェルデとブラジルを繋ぐ音楽の架け橋がここに。

 ブラジル、リオデジャネイロ出身のシンガー・ソングライター、ギタリスト、フレッヂ・マルチンスと、カーボ・ヴェルデのシンガー、ナンシー・ヴィエイラ。それぞれのフィールドで精力的に活動している二人が出会い、創り出した本作『エスペランサ~希望~』。フレッヂのオリジナルからカーボ・ヴェルデで長年愛されてきた曲。さらにキューバの名曲と幅広いフィールドからの11曲が収められた。

NANCY VIEIRA, FRED MARTINS 『エスペランサ~希望~』 RESPECT(2025)

 「アルバムはポルトガル語とクレオール語、キューバの曲はスペイン語ね。ポルトガル語でも私はポルトガルの、フレッヂはブラジルのポルトガル語で歌う曲もあるけれどね。“Saiko Dayo”には日本語も混じってる。フレッヂが歌うクレオール語もあるけれど、初のチャレンジなのにとても美しく歌ってくれたわ」(ナンシー)

 そしてほとんどの曲がフレッヂのギターと歌、ナンシーの歌声だけで収録されている。

 「ブラジルとカーボ・ヴェルデ、どちらの音楽にとってもギターは凄く重要な楽器さ。しかもジョアン・ジルベルト以降はこの一本でメロディとハーモニー、グルーヴを表現できるけど、さらにダイレクトにメッセージが届くよう、シンプルかつナチュラルにしたかったんだ」(フレッヂ)

 「フレッヂにとってギターは身体の一部みたいなもの。いつもギターのことを考えているのよ(笑)。私は歌うだけだけど、歌声に凄くマッチする楽器だと思うの。レコーディングはほとんどが二人一緒に演奏していて、トラック毎に重ねることはほとんどしていないわ」(ナンシー)

 共通の友人であるポルトガルのピアニスト、パウロ・ボルジスの紹介で2013年に出逢った二人。

 「〈きっといいものが出来るよ〉と言われ続けていたわ」(ナンシー)

 予言は当たった。お互いが培った経験を惜しげも無く差し出し、素晴らしいアルバムに仕上がった。例えば本来コルデイラというスタイルの“Saiko Dayo”が、ここではブラジルのマルシャ調に仕上がっている。てっきりフレッヂのアイデアかと思ったのだが。

 「いや、このアイデアはナンシーからなんだ」(フレッヂ)

 「二人で作ったというのが正しいわ。私はギターを弾けないので、何となく歌ったところにフレッヂがギターを合わせて。マルシャはブラジルのカルナヴァル音楽だけど、カーボ・ヴェルデでも通じているの」(ナンシー)

 7月には来日が予定されている二人。研ぎ澄まされた歌とギターの世界を是非体験してみたい。

 


LIVE INFORMATION
ナンシー・ヴィエイラ&フレッヂ・マルチンス 「エスペランサ~希望~」リリース記念公演

2025年7月19日(土)兵庫・神戸 100BANホール
開場/開演:13:00/13:30

■出演
ナンシー・ヴィエイラ(ヴォーカル)/フレッヂ・マルチンス(ギター/ヴォーカル)
スペシャル・ゲスト:松田美緒(ヴォーカル)

2025年7月20日(日)東京・南青山 MANDALA(マンダラ)
開場/開演:17:30/18:30

2025年7月21日(月・祝)東京・南青山 MANDALA(マンダラ)
開場/開演:12:15/12:45

https://www.respect-record.co.jp/nancy_fred/