〈貴方の孤独に寄り添う音楽を〉をコンセプトに、東京を拠点に活動中のスリーピースによる初のフル・アルバム。これまで発表してきたEPでも、爆発力はありつつ、繊細で感傷的なギター・ロックを鳴らしてきたバンドだが、〈夏〉という題材を通してその持ち味を強烈に結晶化させ、美しくて、儚くて、残酷で、それでいて眩くて尊い音世界を紡ぎ出している。ポエトリーリーティングを交えた“忘却、”から“追憶。”など、物語が見えてくる構成も実にコンセプチュアル。誰しもが胸に秘めているあの夏の記憶を甦らせるかのように、あるいはまるで一本の映画を観たかのように、深い没入感と余韻を残す一枚。