フィレンツェ、ドレスデン、プラハ、ベネディクトボイエルン、北京(!)、サンクトペテルブルク、パリ、ロンドン、マドリードまで、歴史と旅をこよなく愛するチェンバロ奏者の著者が、都市と歴史と音楽の関わりを易しく丁寧にかつ詳細に描き出す。どの都市の記述も読んでいて楽しいが、中でも番外編と題されている「北京」での、宣教師たちが行った音楽による布教についての文章は、16世紀当時から西洋の音楽が遥か東方まで伝搬していたことを示していて興味深い。この本を片手に世界を旅して、歴史と音楽に触れたくなる。そんな一冊だ。
渡邊温子「ヨーロッパ古楽旅行 歴史・音楽・街歩き」歴史と旅を愛するチェンバロ奏者が都市と歴史と音楽の関わりを詳細に描く
