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ソンバーらしいスタイル
謎に包まれていたソンバーというアーティストの全貌がようやく明らかにされることとなったこのアルバム。もちろん前述した2曲のヒット・チューンも収録され、それらに代表される、失った恋の痛みや若さや孤独、心の叫びがギッシリ詰め込まれている。喜怒哀楽を、そのままぶつけるかのようなエモーショナルな彼のヴォーカル。ハッとさせられる機知に富んだバンド演奏。アルバムの隅々から、ヒリヒリ焼け付くような焦燥感やテンションが放たれる。
曲の多くはオルタナティヴ/インディー・ロックのスタイルで演奏されるが、その根幹を成すのはキャッチーなメロディーだ。軽妙なギターとタイトなリズムを従えて、耳に残るポップなメロディーが次々と繰り出される。奥行きのある空間を活かした音響からは、ファンだというThe 1975の影響も聴こえてくる。加えて、フォスター・ザ・ピープルやゴティエを彷彿とさせる曲調もあれば、カントリー風の“dime”、同じくグラミーの新人賞にノミネートされたアディソン・レイをMVに迎えた最新シングル“12 to 12”でのディスコ調など、ヴァラエティーに富んでいる。が、どれをとっても借り物ではなく、彼らしいと思わせるスタイルへと昇華。本人いわく影響を受けてきたアーティストは、レディオヘッド、ジェフ・バックリィ、オアシス、プリンス、ローリング・ストーンズ、フィービー・ブリジャーズなど実に幅広い。ロック系の名前が多いのも、やはりと思わせる。筆者が〈サマソニ〉の大阪で彼のライヴを観た際には、炎天下の野外だったので〈思うようにライヴができない!〉と苛立ちまくっていたのが却ってロック的な反逆精神を倍増。ストロークスのようだと感じたのを覚えている。