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私たちは彼のことをほとんど知らない――2025年最注目のロマンティックなニューフェイスとしてスターダムを駆け上がっていく20歳の次世代ポップスター、ソンバーとは何か?

読み方より先に浸透した歌声

 ソンブレ? ソンブラ? 2025年の春から夏にかけて、多くの音楽ファンが〈sombr〉の読み方をネットで検索していた。それは日本だけに止まらず、英語圏のイギリスやアメリカでも同様の現象が起こっていたようだ。

 ソンバーことシェイン・マイケル・ブースの存在は電光石火のようなスピードで音楽界に知れ渡り、瞬く間に〈sombr〉というアーティスト名、その読み方、そしてその歌声を世界中へと広めた。NYはロウアーイーストサイドで生まれ育ち、現在はLAを拠点とする20歳。約2メートルの長身を軋ませ、ステージではデヴィッド・ボウイを彷彿とさせる強烈なカリスマ性を纏っている。すでに今年の〈サマーソニック〉で初来日を果たしており、その時点で彼のことを知った人も少なくないはずだ。先頃発表された第68回グラミー賞では、新人賞にノミネート。オリヴィア・ディーンやレオン・トーマスらと争うことになる。この後、彼がどこまで認知度を高められるかが鍵となりそうだ。

 ソンバーが頭角を現したのは“back to friends”というシングル。2024年12月にリリースされた後、じわじわと人気を博していたのが、今年4月にMVが公表されるや否や一気に爆裂した。しかもロングヒット化して、2025年11月の現時点で全米シングル・チャートで12位につけ、いまなお上昇中だ。Spotifyでは10億回以上の再生数を誇っている。また今年3月にリリースされたシングル“undressed”も並行してチャートを上昇し、Spotifyで6億回以上の再生数を記録。海を渡ったイギリスのシングル・チャートでも両曲は、それぞれ7位と4位にランクイン。日本ではその2大ヒット曲をカップリングした、レトロ仕様の8cmシングルCDもお目見えした。そんな快進撃の真っ只中、今年8月にはファースト・フル・アルバム『I Barely Know Her』がリリースされ、米英チャートでTOP 10入り。そしてこのたび、その記念すべきファースト・アルバムがCD化されたというわけだ。

SOMBR 『I Barely Know Her』 Warner/ワーナー(2025)