2025年も残りあとわずか。12月に入ってからメディアやリスナーが今年のベストアルバムを次々と発表しています。Mikikiではタワーレコードのスタッフに2025年のマイベスト洋楽アルバムを募りました。邦楽編とあわせて、それぞれの選盤とコメントをどうぞお楽しみください。 *Mikiki編集部

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富田純司(広島店)

DEFTONES 『Private Music』 Reprise(2025)

新曲がリリースされた時、これは傑作がくるぞ!と思ってたら、その期待を超えてきました。

うねるような螺旋形のヘヴィネス。音が体に絡みついてくるような感覚。まるで美しい舞踏を踊っているような錯覚も覚えます。今年はスリープ・トークンとか、アーキテクツとか、自身のキャリアハイを更新するバンドも多かったけれど、今作の貫禄と独自性は一歩抜けていたと思います。

 

小畑雄巨(神戸店)

YHWH NAILGUN 『45 Pounds』 Miscellaneous(2025)

エフェクティブなギターもシンセも、パーカッシブに乱れ打つドラムも、放つ音の質感はメタリックで無機的。しかし、それらがぶつかり合い、交わることで生まれる熱量は、人外と言っていい程に凄まじい。そこに呻きなのか絶叫なのか発狂なのか判別困難な、感情不明なボーカルが重ねられる。サウンドは極めてカオス。カオスではあるがダンサブルという一本の軸が通されていることで辛うじて秩序が保たれている。ギラ・バンドにバトルスを掛け合わせて加速させ、初期スワンズの暴力性をスパイスとして加味した、そんなサウンドと言ったら伝わるだろうか。今年のロック作で最も熱狂させられた1枚。

 

えだおり(モレラ岐阜店)

JENNIE (BLACKPINK) 『Ruby』 ODD ATELIER/Columbia/ソニー(2025)

〈クールで可愛くて、カッコイイ! ジェニーって、やっぱり最高!〉

このソロアルバムは、グループ活動での彼女のカッコよさとはまた別の印象を受けたアルバムです。SNS各種でも“like JENNIE”のダンスチャレンジが話題になり、2025年の春ごろにはよく耳にした方も多いのではないでしょうか?

とにかくタイトル曲の“like JENNIE”から繰り出されるパンチの強さ。何回も聴いているうちに、繰り返される毎日の中、色んなシーンで戦っているであろう、すべての女性達への応援歌にも感じられました。

既に配信リリースされていた収録曲“Mantra”もオススメです。彼女からの〈素敵な呪文が繰り返される〉中毒性の高い楽曲で、思わず体がリズムに乗っちゃうと思います。

またアルバム全体を通して聴くと、儚いイメージの楽曲もあり、ジェニーの〈強さ〉だけでなく〈繊細さ〉も感じられる1枚だと思いました。

彼女のグループデビュー当時からずっと応援していますが、このアルバムはまさに〈やられた(撃ち抜かれた)!〉って感じになったので、まだ聴いていない方にもおすすめしたいです。

 

熊谷 祥(東浦店)

CURTIS HARDING 『Departures & Arrivals: Adventures Of Captain Curt』 Anti-(2025)

2014年のデビュー作『Soul Power』のあまりの渋カッコよさに脳を焼かれて早10年。カーティス・ハーディングの最新作はコズミックをテーマにヴィンテージソウル感がセピア色のように広がる良作。①のファズとワウを絡めたオルガンのようなキーボードや④のハモンドオルガン的なサウンドなどディテールまでこだわったサウンドの妙が最高。ベールを1枚被せたようなシルキーな曲が続く中、⑥のようなシャキッとしたダンサンブルな楽曲が入ったり(中間のストリングスアレンジも見事)、全体を通してスキがない。ソウルに限らず渋カッコいいサウンドが好きなら是非手を伸ばしてほしい激オススメの1枚。