
映画のエンドロールが流れる瞬間、こんな曲を歌いたいと思い浮かぶ
──10年間形にしなきゃと思い続けていた1stアルバムを実際に完成させてみたとき、どんな感覚がありましたか?

「早く次を作りたいなとは思いましたね(笑)。最初は、1stアルバムを2枚組にしようかなとも思ったんです。誰もやったことなさそうだし、面白そうだなと思ったんですが、さすがに絞ろうと。
それに、やっぱりアイデアがどんどん出てきてしまうので、1stアルバムで過去のアイデアを出し尽くしてしまったわけでもなかったんです。“Unbreakable Code”“THE GATE”“The Roots Of Denial”“Graven Rose”の4曲は新曲で、テンションが高いうちに作ってしまおうと思ったので」
──インストやバラードを追加されたと。
「僕、バラードが大好きなんですよ。“Graven Rose”みたいな、ピアノとストリングスの子守唄みたいな曲も大好きで。アルバムにはちょっとハマらないかもしれないけど、こういうこともGRID WEDGEはやりますという意味で入れてみました。ライブではバラードをやらないバンドさんも多いですけど、自分は1曲ぐらいは歌いたいなって思いますね」
──それはご自身のルーツ的な部分なのか、ボーカリストとして見せたいものなのか。
「ルーツなのかな。中学くらいからハリウッド映画のサントラも大好きで、映像にハマるような音楽にも結構影響を受けているんですよ。『トップガン』のケニー・ロギンスとか、『オーバー・ザ・トップ』のロビン・ザンダーとか。あと、日本のドラマですけど、『もっとあぶない刑事』のサントラも結構好きで。映画を観ていて感動して、エンドロールが流れる瞬間に、自分だったらこんな曲を歌いたいなって思い浮かぶことが結構多いですね。
たとえば『Sticky Scream』に入っている“Recollection”は、〈ボーン〉シリーズのジェイソン・ボーンをイメージしたんです。歌詞も記憶を取り戻すために必死にもがいている男の話にしました」
コロナ禍を抜け、明るさと変化を求めて
──お話にも出ました『Sticky Scream』は、それぞれベクトルの異なる4曲が収録されていますが、今作はどういうものにしようと考えていましたか?

「1stアルバムから雰囲気は変えたいなと思ってました。それでちょっと明るくしてみて、聴きやすくなかったかなと思います。
あと、前までは日本語と英語のメロディの作り方って全然違うと思っていたんですけど、同じ部分もあるかもなと思って。その境界線が最近なくなってきた感じがあるよなと思いながら作っていたところもありましたね」
──でも、なぜ明るくしたいと思ったんです?
「1stアルバムが完成したときは完全にコロナ禍だったんですよ。そこから抜けたというのはあると思います。
あと、同じことをやりたいわけでもないんですよね。やっぱりエンターテインメントって、予測されてしまうことが一番つまらないと思うので。だからあっと言わせたかったというのもありましたね」
──実際に1曲目の“Rusty Imagination”を聴いた瞬間に、前作との空気感の違いに驚きました。
「この曲は結構言葉数が多いんですけど、自分の声をわりと多めに入れてみてもおもしろいのかなと思って、自分のウィスパーボイスで遊んでいる感覚で作っていきました。
曲としてちょっと長めなのは、それこそ普通に終わってしまうのもつまらないなと思ったからで。間奏と終盤にテンポダウンした部分を入れてみたりして、それこそ予測されないもの、〈普通はそうはいかないよね〉というものを作っていきました」
──〈明るくしたい〉という点において、“Without It”はまさにその感じといいますか。
「珍しくメジャーキーですからね(笑)。こういう曲が1曲あると落ち着くし、他の楽曲もよく聴こえるので。全部が全部前に出ればいいわけでもないから、ここは一度引いて、肩の力を抜いて、ボーカルレコーディングも力まずに歌いました」
──あと、1stアルバムではハイトーンを駆使されている印象があって。『Sticky Scream』にもそういう場面はあるんですが、比較的抑えているというか、ポイントで差し込んでいるような印象を受けました。
「ロブ・ハルフォードが大好きなので、そのイメージをしていたんですけど、ハイトーンを入れすぎないほうが聴きやすいかもしれないなと。人間の耳にも限界があると思いますし、ライブでやってもたぶん保たないと思うので。なので、楽曲というよりは作品としてのトータルバランスを見て、どこにハイトーンを持ってくるのかというのはすごく考えましたね」
──幅広い4曲になっていますし、たとえばライブのセットリストを組むときに、今回の楽曲は軸にもなるし、1stアルバムの曲と合わさることで、またいろいろなバリエーションが組めそうだなと思いました。
「本当にその通りで。そこは自分でもイメージしてみてワクワクする感覚がすごくありますね」